会長の”三行日記”

2014.07.02

集団的自衛権 No.2591

 とうとう集団的自衛権の行使を容認するという閣議決定が行われました。言い換えれば日本が世界に誇る平和憲法の、第9条の解釈を変更したのです。これは下記に示すような従来からの政府見解を大きく覆すものなのです。

政府は1972年、参院決算委員会に、集団的自衛権と憲法との関係に関する政府資料を提出し、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」では「必要最小限度の範囲」の自衛の措置が認められるが、日本が攻撃されていない集団的自衛権は「憲法上許されない」との判断を示しています。

また81年には、集団的自衛権の行使は「必要最小限度の範囲を超えるもので、憲法上許されない」との政府答弁書を閣議決定し、以来、こうした解釈が定着しているわけです。

つまり集団的自衛権とは、自国が攻撃を受けていなくても他国同士の戦争に参加し、一方の国を防衛する権利のことを指します。もっと解りやすく言えば、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生すれば、我が国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される明白な危険という名目で、日本が武力攻撃に参加できるのです。

一番密接な関係と言えばアメリカ以外には考えられないわけです。この解釈によると、世界中のあちこちで戦争もどきのことに加担している、同盟国のアメリカに危険が及ぶようなことがあれば、日本が出掛けて行って加勢することにもなりかねません。。

こうした大きな問題を国民には何も諮らず、内閣だけで取り決めてしまうということはまさに暴挙とも言えるわけで、今まで日本が積み上げてきたものをぶち壊しにしてしまうとも言えるものです。

これを受けての自衛隊の反応はどうでしょうか。今まで専守防衛を貫いてきた自衛隊にとっては、このことは青天の霹靂とも言えるもので、これからは命にかかわる大きな問題になるのです。

ある隊員は災害救助で社会貢献をしたいという目的で入隊したと言います。それが戦場にもし行くようになったらという問い掛けには、「喜んでというわけではないが命令なら従います」と答えています。しかしその母親は自衛隊をやめさせたいと強く訴えています。

人を殺すことに息子を加担させたくない。戦争に行かせるために、自衛隊へ入れたわけじゃない」と言っているのです。まさに人の子の親なら誰しも同じ思いではないでしょうか。

それにしても平和を党の看板に掲げている公明党もだらしないものです。連立与党にあって歯止めになるものと期待していたのですが、政府首脳の言いなりきなりではお話になりません。その独自色を出せなければ連立の意味もないというものです。

まあ安倍さんがこんなにまでしても、この容認に拘ったのは本人のみならず、アメリカの強い圧力があったものと思われますが、国民に諮ったとしても否決されるのを読んでの強行に違いありません。

ノ-モア・ヒロシマ、ノ-モア・ナガサキと、悲惨な体験をした我が国だからこそ、世界に向けて平和を呼び掛ける大きなインパクトがあったのですが、これでは諸外国と何も変わりがなくなってしまいます。「目には目を、歯には歯を」では、いつまで経っても戦争は終わらないのが分かりそうなものですが...