会長の”三行日記”

2014.05.12

教師の優先順序 No.2565

 教師の優先順序という問題が少し論争の種になっているようです。これは埼玉県西部の県立高校の入学式を、別の高校に通う長男の入学式に出席するため、欠席していたという50代女性教諭の話です。

しかも欠席していた務める高校は入学式の対象でもある、1年生の担任でもあったのです。また県の教育局によると、同様な理由で他にも男女3人の担任教諭が子息の入学式を理由に休暇届を提出し、勤務する入学式を欠席したと言います。

その結果、入学式の担任紹介の中で校長が女性教諭の欠席理由を説明したことにより、新入生の保護者らから「今の教員は教え子より息子の入学式が大切なのか」と困惑している声が挙がり問題となったのです。

また来賓として入学式に出席した県議からも「担任の自覚、教師の倫理観が欠如している。欠席理由を聞いた新入生たちの気持ちを考えないのか」といった声も挙がり、教員の優先順序を考えた行動ということが俄かにクロ-ズアップされてきたのです。

でもこのことに反発している、以下のような声がありますのでちょっと紹介させて下さい。まず、我が子の入学式を優先することは、別段何の不思議はありません。当たり前でしょそんなの。自分の子どもの、たった一度の入学式なんですから。

というか、逆に先生が自分の息子の入学式を優先しないとしたら、そっちの方が「え、親としてどーなの?ぼくが子どもなら、入学式出てほしいけど…」と思ってしまいます。 

えらいオジさんが「欠席理由を聞いた新入生たちの気持ちを考えないのか」と憤慨しているようですが、そんなことは別に新入生も「へー、担任の先生のお子さんも、今日入学式なんだ。子どもいるんだね」で終わる話でしょう。

次の日からは普通に授業が始まるわけですし、初日にいようがいまいが、それが今後の大問題になるとは到底思えません。何より気持ち悪いのは「教員としての優先順位を考え行動するよう指導する」という言葉。

先生たちはプライベートを犠牲にすべきなんですね。そんな考え方じゃ、優秀な人が教員にならないですよ。このニュースを聞いて、「埼玉県では働きたくない」と考える教員志望者がたっぷり出たことでしょう。

「埼玉県の公教育をよくしていこう」という思いが本当にあるのか、疑問に感じます。教員にプライベートを犠牲にすることを強いるのは、裏目に出かねませんよ。 

こういった、「何を言っているのかよくわかりません。当たり前でしょう、我が子なんだから。」といった声もあるわけです。まさに多様化の時代に突入し、考え方も千差万別とも言えるわけですが、いろいろと考えさせられてしまいます。

教師は聖職と言った時代は過去のものになっているかもしれません。でも大多数の教員の方たちは今でも半ば家庭を犠牲にしているというか、遅くまで学校に居残り、毎日最優先に教職に努めていることを私たちは知らなければなりません。ほんの一部の教師の行動が全てに通じていると思われることが一番恐ろしいことです。