会長の”三行日記”

2014.05.08

韓国船沈没の責任 No.2563

 韓国船沈没事故から3週間余りが過ぎた今現在でも、未だに20数名の行方不明が伝えられています。本当に痛ましい事故なのですが、船を所有する運航会社のずさんな経営が伝えられ、まさに人災とも言える真相が明らかになってきました。

何しろ一番の原因とされている過積載が常態化されていて、船員の安全教育をないがしろにしていたことや、貨物を固定せず事故後に積載量の記録を改ざんしていたことなど、利益優先で安全軽視の同社のずさんな経営実態が次々と明るみに出ています。

今回の事故でも最大積載量987トンに対し、4倍近い3788トンの貨物や車両を積んでいたとのことで、過積載は昨年3月の就航以来、常態化していて、片道241回の運航のうち、約6割に当たる139回で確認されたそうです。

その結果、旅客収入は近年、減少していたものの、貨物収入は昨年1年間で前年比36%増の約19億3500万円とのことで、昨年から1年間の過積載による不当収益は約2億9422万円に上るとみていて、大きな収益源だったようです。

ですから船員からの、過積載をすると船の復元力が落ち危険だという警告も無視されていたのです。また最近5年間で6件もの事故も起こしていて、韓国内でも一番事故の多い会社だったと伝えられています。

まさに安全より利益優先を追求し、人命を軽視した言語道断の話です。これでは事故での被害者が浮かばれないというものです。先日少し触れさせてもらった女性乗務員の美談の他にも、迫りくる死を目の前にして、6歳前後の兄妹が自分より妹に救命胴衣を着せて、妹だけが助かったというような話も伝えられています。

この兄妹はソウルから両親と一緒に南部の済州島へ引っ越すため、この船を利用したとのことです。そして父親はソウルで清掃員としてためた資金を元手に、済州島でミカン栽培を始める予定だったそうです。

ですから第二の人生に向け、新たな希望に燃えて出発した矢先の出来事だったのです。その責任を誰が取れるというのでしょうか。自分だけ真っ先に逃げ出した船長も論外ですが、運航しているこの船会社の罪はもっと限りなく大きなものだと考えています。