会長の”三行日記”

2014.02.06

豪華バス No.2524

 こんなバスに乗ってみたいものです。四国の徳島と東京を毎日結んでいる豪華バスです。大型バスなのに座席はわずか12席、運転手出身の創業経営者は「バスは劇場。きれいな車内と運転手のもてなしで感動をもたらしたい」と語っています。

夜の10時、JR徳島駅の近くの停留所から乗り込むお客は、まず運転手に靴を預けます。中央の通路がカーペットを張ってあるからです。通路を挟んで左右に6席ずつある座席は、70センチ幅で155度までリクライニングできるそうです。

木目調の仕切りにつけられたカーテンを閉めれば、もう自分だけの世界になれるのです。DVDも見れるし、テレビも使えます。走行中は多少揺れますが、マッサージチェアでくつろいでいる感覚だと言います。

また最後部にあるトイレは着替えスペースもあり、東京駅に着く直前には身だしなみも整えることができるわけです。その名を「マイ・フローラ」というこの豪華バスは、創業者である海部観光の会長・打山昇さんの夢を実現したものだと言われます。

地元で観光バスの運転者をしていましたが1996年に独立、2005年に高速ツアーバスに参入しました。インターネットで安い運賃を提示したため乗客は集まりましたが、終点の東京で降りる客の多くは疲れ果てていたそうです。

着いてからが本来の目的なのにこれではと、もっとゆったりくつろげる空間を作りたいと思ったのがその原点です。そして11年4月からこのバスの運行を開始しました。それ以降、9割を超える乗車率を維持し、予約数、売上額とも右肩上がりを続ける原動力となっているそうです。

ご存知の2012年4月に起こった関越道での高速ツアーバス事故をきっかけに、13年8月に低価格を売りにした高速ツアーバスの廃止など、制度改正を実施した結果、手掛けていた企業の7割を超える会社が高速ツアーバスから撤退しました。

新制度は従来より厳しい安全対策が求められることになったからですが、海部観光はより規制の強い高速路線バス業者に移行して事業を継続する道を選択したのです。まさにJRなどの大手と真っ向から勝負を挑むことになったのです。

快い中小企業の挑戦とも言えるのではないでしょうか。やはりここにも他社との差別化が見られます。横並びの当たり前のことをやり続けていれば、いつかは淘汰してしまうのが現代です。応援したくなる豪華バスですね。