会長の”三行日記”
2014.01.21
増え続ける認知症 No.2514
今から30年後、認知症が10人に1人という時代が来るかもしれないというコラムを読みました。その頃の日本は総人口が1億1000万人を割り込むと推定されていることから、今のペ-スで認知症が増え続ければ1000万人に達する恐れがあるからです。
レビ-小体型という認知症を発見したのは、横浜市立大学名誉教授の精神科医・小阪憲司さんという方です。認知症は脳の神経細胞がこわれることで起こる病気なのですが、レビ-小体型はその2割を占め、アルツハイマ-型に次いで多いとのことです。
その症状は進行性の認知機能低下が見られ、初期の段階ではアルツハイマ-型との識別が難しく、間違って診断されることが多いとのことですが、特徴的な症状としては、注意や覚醒レベルの顕著な変動、具体的で詳細な内容のリアルな幻視(幻覚)、パーキンソニズム(手足の安静時の震え、歩行障害、筋固縮など)が見られると言います。
でもこれらが全て出現するわけではないのですが、幻視などは非常にリアルで、患者本人は具体的にそこに~がいるなどと訴え、視覚的にも物事を捉えることが難しくなり、アルツハイマ-とは違って図形描写が早期に障害となることが多いと言われています。
またパ-キンソニズムと呼ばれる、パ-キンソン病同様の運動障害を認めることが多く、進行に伴い最終的には寝たきりになるとのことです。ですからこうした運動障害を伴うことから、考えようによってはアルツハイマ-より症状は大変かもしれません。
一方、一番多く見られるアルツハイマ-型は、20年前に比べ高齢者における割合が3倍も高いと言われる認知症の中で、その増え方が際立っているとのことで、このまま進めば冒頭に挙げたとおり、10人に1人という時代が来るかもしれないと言われています。
その原因と考えられるのが糖尿病の増加だといいます。糖尿病の人は健康な人に比べ、アルツハイマ-型になる危険性が2倍くらい高まるとのことが調査により判明されています。ですから糖尿病の治療同様、食事や運動で予防できる可能性もあるわけです。
こうした認知症を一躍クロ-ズアップさせたのが、有吉佐和子さんの小説「恍惚の人」だと言われています。それから家の中の問題が社会問題となり、いろいろな介護施設が増えていきました。そして急増する患者に追いつけず社会保障費抑制の流れから、今また施設から在宅へといった家族ということが強調されています。
小説の中には「老人を抱えたら誰かが犠牲になることは、どうも仕方がないですね」というくだりがあります。でも前出の小阪さんは「認知症の問題は誰かの犠牲の上で解決するものではない。在宅もこれほどお金がかかるものはなく、社会でどう支えていくか、日本が世界をリ-ドしなければいけないのです」と答えています。
とにかく10人に1人が認知症といったら、国家は成り立たず国家的危機が迫っているとも言えるものです。昨年12月1日現在で、高齢者の割合は25.2%と4人に1人を突破しました。それだけに放ってはおけない真剣に考えなければいけない問題でもあるわけです。