会長の”三行日記”
2014.01.14
ジャンプの期待の星 No.2510
ソチ五輪まであと1ヶ月も切った今日、スキ-ジャンプの高梨沙羅ちゃんには日本中から大きな期待が寄せられています。それに応えるかのように、今シ-ズンの女子W杯では7戦中6勝も挙げる、断然たる強さを見せつけています。
いったいこの人には余分なプレッシャ-なるものがないのかと思わせられる大活躍です。これで歴代最多の通算15勝目と言われていますが、この日の2回目のジャンプは飛ぶ直前にスタ-トゲ-トを1段下げたとのことです。
それは1回目を飛ぶ前、すでに転倒者が二人いたほどで、飛びすぎるとテレマ-クと言ってスキーを前後に開き、腰をおとしてショックを吸収する姿勢がとりにくいからです。従って危険性を考え、コ-チの指示で飛距離を落としても確実なジャンプを選んだわけです。
そのくらい沙羅選手にとって敵は他の選手ではなく、風向きなどの自然が相手となっているわけです。それにしてもこのスキ-ジャンプという競技は見ても判るとおり、危険が本当に付き物なのです。
W杯では救急車がいつも待機しているくらいで、試合のたびにけが人が出ているみたいです。W杯開幕前にはカナダ選手がけがをし、第2戦の前にも昨季のオーストリアの銅メダル選手が着地に失敗し、膝の前十字じん帯を断裂しています。
また沙羅ちゃんのライバルである、昨季の世界選手権覇者のサラ・ヘンドリクソン選手も昨夏の大けがからのリハビリ中とのことです。これも着地時でのけがが多く、運営側にもジャンプ台の安全性確保や強風の的確な判断が求められています。
また女子は男子に比べて助走速度を上げて飛距離を伸ばさせるため、スタ-トゲ-トも高く設定されているとのことです。従って男子より筋力の弱い女子は、着地時に膝にかかる負担が増すみたいです。
このようにソチ五輪を前に沙羅ちゃんにとって一番怖いのは、あと6試合も残っているW杯でけがをすることです。それさえなければ、札幌での第6戦のように、大観衆を前にしても少しもビビらない彼女にとっては怖いものなしではないでしょうか。
むしろ大歓声を「期待されるということは、気にしてくれているということ」と受け取り、自分に心地よく受け止めているのが彼女の並でない強いところです。とにかく実力だけで勝てるものではなく、本番での気象条件など運という要素が備わるのがジャンプの怖さです。
でも少しも恐れず、前向きに果敢に挑戦してくれているのが17歳の高梨沙羅選手です。ですからきっと運まで味方に付け、大きな日の丸を揚げてくれるのではないでしょうか。ソチ五輪での本番が今から本当に楽しみになっています。