会長の”三行日記”

2014.01.10

美容整形 No.2509

 イランでは美容整形がやたらにはやっているそうです。高い鼻を持つ美男美女が多いのになぜと思われるのですが、その鼻に白い絆創膏を貼った人が多いと言います。なぜなのでしょうか。

そのわけは美容整形の痕というのです。わざわざ高い鼻を低くする手術を受けた痕なのです。もったいないと思われるのですが、欧米の映画俳優のように鼻の頭がツンと上を向くようなものに憧れているみたいです。

イランはこの美容整形では最先端とのことで、整形医の数は3600人と言われ米国、ブラジルに次ぐそうです。中でも鼻の施術数は世界一で、美容整形の料金は10万~40万と言われていますが、イラン人の平均月収が約4万円ですから、かなりの大金にも当たるわけです。

それでもその数が減らないのは、髪の毛もスカ-フで隠され外に出ているのが顔だけなので、その中で印象的な鼻はとても大事に思われているのです。そして鼻は一般的に高いのですが、大きくもあるので削ればスタ-の顔に近づけると信じられているのです。

かつてはアメリカを敵国として呼び、西洋的な価値観を是としない国でしたが、どうやら人々の欧米志向が強いようです。またご存知の人も多い通り、お隣の韓国もこの美容整形に関しては有名です。整形医の数がここ20年間で5倍に増えていると伝えられているように、この国は人口当たりの整形数が世界一なのです。

美容整形は芸能人の告白でも注目度を上げ、経済危機によるリストラや就職難から、同じ能力なら外見の優れた人が有利との考えが広まったようです。ただミス・コリアのコンテストのように、最終候補の10人が皆、同じような顔をしているという、整形ではないかという疑いを持たれる弊害も出てきています。

正月に読んだ百田尚樹さんの小説「モンスタ-」も、この美容整形をテ-マにした物語です。主人公の女性は生まれつきの不細工な容姿のため、学校時代より周囲からいろいろないじめや、ひどい仕打ちを受けて育ちます。そして生まれ故郷を追われるようにして去るわけですが、ある日ひょっこりこの街に戻ってくることになるのです。

その姿は町中の人々が思わず振り返るほどの美しさを備えているのです。目的はただ一つ、幼少時代に唯一優しくしてくれた男の子にずっと恋焦がれていたため、再会を期し、少しでも自分に振り向いてもらいたいからです。

こうしたブルドックのような顔したブスから絶世の美人への大きな変貌を遂げるわけですが、周囲の扱いの大きな違いに触れていました。ブスの時にはその人格まで否定されていたのに、美しくなった途端、人々は豹変し自分に媚びへつらうようになるのです。

まさにその生活が180度変わるのです。これは小説の世界に過ぎないと言われるかもしれませんが、本人の意志とは無関係に醜く生まれついた人にとっては、この美容整形はたった1度しかない人生が大きく変わるチャンスでもあるわけです。

そういった意味では決して否定されるものではありませんが、普通の顔した人が何人も皆、同じような顔になるというのも考えものです。小説にもあったとおり、近頃は美の基準が昔よりだいぶ広がり、個性を尊重するようになってきました。ですから似たような顔ばかりの世界ではなく、個性ある自分なりの美しさを究めてもらいたいものです。