会長の”三行日記”

2013.12.26

靖国参拝 No.2505

 安倍総理が靖国参拝を行いました。なぜこの時期にというのが多くの人の思いなのでしょうが、ギクシャクしている近隣諸国との関係改善より、個人の信条を優先したと捉えても仕方がないと言えるものです。

新聞でも伝えるように、多くの国民の反対を押し切って強硬可決した特定秘密保護法案や、来年4月からの消費税導入、そしてここにきて沖縄の普天間基地問題に目途がたったからということなのでしょうが、周囲の言葉にも耳を貸さない独断専行とも言える行為ではないでしょうか。

それにしても沖縄の仲井真知事があっさりと白旗を揚げたのにはびっくりしました。地元選出の国会議員といい、選挙での公約が何なのか考えさせられることです。このようにやること為すこと全て順調に回っているように思える安倍政権なのでしょうが、これが全て国民の合意の上に基づいているわけではないゆえ、思い上がってはいけません。

参拝を行った今日26日は政権発足から丸1年経った節目の日と聞きますが、今行かなければ政権終盤でも行けなくなると周囲の反対を押し切り、この参拝に及んだと言われます。

確かにここで映画も封切りになった「永遠のゼロ」のように、祖国のために自分の身を犠牲にしてまで守らなければいけなかった尊い命に、敬意を表さなければいけないのは私とて何の異論もありません。現在の日本の繁栄がそうした尊いものに基づいていると言っても過言ではありません。

でもそうした一個人の感情を、国を大きく取りまとめる総理という立場では、切り離して考えなければいけないものではないでしょうか。総合的な判断が必要となるわけです。首相の読みでは一向に開く目途のたたない対中韓首脳会談ゆえ、今こそかえって参拝しやすいとのことだったのでしょうが、これではいつまで経ってもこじれるばかりです。

まさに開き直っているとも捉えられてしまう行為なのです。また頼りにしているアメリカにまで失望しているという声明を出されてしまいました。今、韓国では朴大統領が必要以上に日本バッシングを行っています。

そして中国は防空識別圏なるものを拡大して日本に益々挑戦的な態度を見せている昨今です。こうした動きに対して、日韓関係の改善や尖閣諸島を巡る日中の緊張緩和を目指す上では、まず日本から動かなければ何も変わるものではありません。

それゆえに今回のこうした行為は必要以上に相手方を刺激することになるのではないでしょうか。安倍首相は今回の参拝を不戦の誓いを立てるためとも称していますが、その言葉とは全く真逆な行動にも思えることです。政治や経済、そして私たち企業分野においても、トップの責任と判断の重大さを知らされています。