会長の”三行日記”
2013.12.06
あれから1000日後の命 No.2499
こんなに尊い命があるのですね。今週の水曜日の12月4日は東日本大震災の発生から1000日目に当たると言います。1000日後の命と称してあの地震の最中、大変な思いをして授かった命について、下記のように記していました。
おびただしい命が奪われた一方で、あの日に生を受けた命もある。悲しみに覆われた地域で芽生えた小さな命は、将来への希望にも映る。誕生から1000日となる2歳8カ月の子どもと家族の姿を追った。
宮城県石巻市の仮設住宅に暮らす会社員永沼博之さん(30)、千尋さん(30)夫婦の次男珠音(しおん)ちゃん(2)は2011年3月11日午後3時18分、余震が続く中、市内の医院で産まれた。千尋さんは分娩(ぶんべん)台からすぐに下ろされ、看護師2人に抱えられて3階から屋上に向かう階段の踊り場に上がった。
しばらくすると津波が1階まで押し寄せた。「体はふらふらで寒かった。何より珠音が無事でよかった」と千尋さんは振り返る。同じころ、珠音ちゃんの曽祖父津田司郎さん=当時(79)=が津波に巻き込まれたとみられる。11年5月下旬、珠音ちゃんが産まれた医院に近い場所で遺体で見つかった。経営する海運会社も近く、いずれかに向かっていた可能性がある。
「最期の姿が分からないのが心残りでね。父は珠音の誕生をとても楽しみにしていた」。珠音ちゃんの祖母で津田さんの長女鶴岡弘美さん(52)は言葉を詰まらす。同じ日に、誕生した命と、帰らぬ旅に出た命。家族は思いを重ねる。「おじいちゃんは誰にでも優しく、たくましい人だった。いいところを珠音が受け継いでくれたら」と千尋さん。
食べ物の好みや顔も似てきたという。「2人とも赤飯が好き。ますますそっくり」と鶴岡さんは目を細める。珠音ちゃんはすくすく育つ。人気グループ「EXILE(エグザイル)」の楽曲に合わせて体を動かす。兄の小学2年蓮翔(れんと)君(7)をまねてブロックや折り紙遊びがお気に入り。「希望を持って、思い通りの人生を歩んでほしい」。千尋さんはそう願っている。
童話「ヘンデルとグレーテル」がお気に入り。「これ、怖いんだよ」。魚類図鑑の中では南米に生息する淡水魚ピラルクが好き。「大きいの。ガブリ、しないよ」。仙台市青葉区の瀬川虎ちゃん(2)はおしゃべり好きな男の子。サッカーJ1ベガルタ仙台所属の仙台大派遣コーチ瀬川誠さん(39)、妻史佳さん(40)の長男だ。
史佳さんは2011年3月11日、仙台市内の医院で陣痛に耐えていた。分娩(ぶんべん)台に乗る直前だった午後2時46分、激しい揺れが襲った。院内は停電しガラスや機材などが散乱。誠さんに付き添われ外に出た。看護師が叫んだ。「(子宮口が)全開です」。直ちに産む選択しかなかった。
史佳さんは1階受付の裏にあった簡易ベッドに座り、誠さんに羽交い締めにされる姿勢で固定され、息んだ。「こんなひどい状況なら生まない方がいいかな」と弱気になった史佳さん。痛みも限界に達し「無理だ」と叫んだ。選手を激励するように誠さんが声を上げた。「大丈夫」「だめじゃねえ」。午後3時23分、虎ちゃんが無事生まれた。
翌日、ベガルタ仙台の手倉森誠監督が見舞いに来てくれた。退院後、コメやおむつをコーチらが届けてくれた。周囲の支援に感謝は尽きない。風邪もめったにひかず、ほとんど医者に掛からない虎ちゃん。ことし3月からは体操教室に通い運動能力は伸び盛りだ。
「あの日に生まれたことを思うと、命さえあればいい。優しい子になってほしい」と史佳さん。誠さんはJリーグ元年の1993年に仙台育英高から横浜フリューゲルスに入り、ベガルタ仙台などで活躍したFWだ。「サッカー、サッカー」と言う機会が増えてきた虎ちゃんに期待を抱く。「まずはベガルタのスクールかな」
以前の講演でも大谷徹奘さんが言われていたように、現在に生きる人は単なる今を生きているのではなく、過去から未来へと命を繫げる中今といって、先人から引き継いだものをないがしろにせず、子孫に伝えていく大切な役割を持っていると言います。
それだけに今回の震災でも、多くの方々が無念の死を遂げられただけに、生き残った人たちが亡くなられた方々の命を無駄にしない生き方をしなければいけないものと強く感じます。ですから今さえよければいいといった生き方は絶対できないものです。
上に記したように大変な思いをしてこの世に生まれてきた命は、本当に貴重で尊いものです。きっと先人の思いも兼ね備えた、優しい人間になるのではないでしょうか。
9日の月曜日は私用で休ませていただきますので、カキコミはお休みさせて下さい。