会長の”三行日記”
2013.11.25
見損なった都知事 No.2490
猪瀬知事、あなたもか、と思わせられる事実が発覚しました。作家や評論家として活躍していた時期、こうしたことにはずいぶん厳しかったように感じていましたが、いざ都知事のような政治家を目指すと、人はこんなにも豹変するものでしょうか。
選挙疑惑で今を騒がせている徳州会から、5千万円もの大金を借り入れしていたというのです。当初、その受領すら言葉を濁していた都知事が一夜明け一転してその受領を認め、あいまいな説明ながら次のように答えているのですが、疑問に感ずる点が少なくありません。
まず記者会見では選挙資金ではなく、個人的な貸し借りとのことですが、この日の登庁時に述べていた、選挙の支援で提供を受けていたという説明を翻しています。選挙とは関係ない、あくまでも個人としての借り入れと強調していたようですが、選挙前の挨拶回りから出た話です。選挙運動費用収支報告書に記載していなかった事実から、急遽、翻したのではないでしょうか。
次に猪瀬都知事は徳州会の徳田虎雄前理事長に初めて会ったということですが、初対面で会う人から5千万円もの大金を無利子・無担保で借り入れができるものでしょうか。猪瀬さんの前知事である石原慎太郎さんは、この徳田虎雄さんとは親しい間柄だったとも言われています。そこに事前での根回しがないとも言えません。
また徳州会が家宅捜索を受けた後の9月になってから、慌てて返済したというのも引っ掛かる話です。選挙資金ではなく個人的な貸し借りなら、慌てて返す必要もないものと思われます。別の伝えるところによると、徳州会側は金銭の授受に関して、アシがつかないようにとの前理事長の指示から、徳田毅氏の議員会館で受け渡しが行われたと言います。
何とも臭い話ではないでしょうか。徳州会に捜査の手が回らなかったら、たぶん返すこともなかったのではないでしょうか。返すどころか、借りた金などと一応言っているものの、そのまま貸し金庫に預けっぱなしの危ないお金のままだったかもしれません。
このように普段強気な都知事がこの日の記者会見に限っては、小さな声が時折上ずり、額には汗を浮かべた様子で、全く普段とは異なる素振りだったと言われています。これでは2020年の東京五輪誘致に多少の貢献があったとしても、功績など台無しと言われても仕方がありません。
もっともその誘致運動の最中、言わなくてもよいことまで述べて一時期、誘致に暗雲が閉ざされたことも思い出されました。とにかく政治家なるもの信用をなかなか持てなくなるものです。5000万円でうちの病院をよろしく、ということではないかと訝(いぶか)るのは、決して私だけではないものと思われます。
昔から「李下に冠を整(ただ)さず」という言葉があり、他人から疑いを持たれる恐れがある行為は避けるべきと教えられていますが、私たちと違って政治家にはそんなことは、とんと関係のないように見えるものです。