会長の”三行日記”

2013.09.24

半沢直樹最終回 No.2461

 テレビドラマ「半沢直樹」の最終回を観ました。回を追うごとに視聴率が上がり、何と日曜日の最終回には42.2%という、驚異的な数字を示したと言います。これは「家政婦のミタ」を抜いて最高だとも言われています。

ではなぜこのように視聴者の目を釘付けにしたのでしょうか。結論から先に述べると、私は現実にはなかなか不可能な、一社員が世の中や会社内における矛盾に対して行った、大きな反攻(逆に攻撃に回ること)への賛美ではないかと思います。

誰しも半沢のような正義感や抑えがたい怒りは持っているものの、現実にはなかなか上司に向かって大きな口は叩けないものです。それをやるとすれば半分、退社を覚悟でしなければなりません。やはり自分の安定した生活や将来のことを考えると、二の足を踏んでしまいます。

こんなことから、自分にはやりたくてもできないことを、テレビの主人公がやってくれることに対しての痛快さを覚えているからではないでしょうか。言い換えればそれだけ現実の世界には、そうしたストレスやフラストレ-ションが溜まっているとも言えるわけです。

原作者の池井戸潤さんもこの最終回を観て、やっと原作どおりの展開にしてもらって助かったと言われるとおり、テレビ向けにそれなりの脚色はあったのはないかと思われます。それだけテレビは誇張していたかもしれませんが、毎回、私も面白く観させていただきました。

幼い頃からの長年の口惜しさを晴らし、銀行の名誉も挽回した、半沢に対して銀行がとった処置はセントラル証券への出向という、思いがけない結論でドラマは閉められました。また一方、融資を私物化したような不正を働いた役員に対しては、大きな左遷もなくそのまま役員に留まる処分で済まされました。

この結論はドラマ的には面白くなかったかもしれませんが、これが現実ではないでしょうか。常務を100倍返しと言って、土下座までさせた社員(次長)をこの先、どうやって執行部は使っていったらよいのでしょうか。それを考えたら、現実にはなかなか使い方が難しいものです。

またもう一つ、銀行内部にうごめく派閥などを考えたら、切るのは簡単だが残した方が得策という、ドラマではない現実的な処分も少し面白かったところです。ということですが、原作も出向してからの半沢直樹を描いている通り、高視聴率を誇ったこのドラマをこれきりにするとも思えません。

それだけに後に続くべきエンディングではなかったでしょうか。それにしてもドラマを更に盛り上げていた大和田常務と金融庁の黒崎を演じた、香川照之さんと片岡愛之助さんの敵役は見事でした。どちらも歌舞伎役者だけに、やはり私たち視聴者を大きく惹きつけるものを持っているのはさすがです。