会長の”三行日記”
2013.08.23
初出場初優勝 No.2448
前橋育英高が初出場初優勝という偉業を成し遂げました。初戦から眺めていて、全体的にまとまっているチ-ムゆえに、ひょっとしたらここがと思っていましたがその通りの結果となりました。
思い出されるのは対横浜と常総学院戦です。監督が言われているように、本人の現役時代から1つも勝っていない相手チ-ムだけに、格の違いを見せつけられるかなと懸念していましたが、結果は全く逆の展開となりました。
豪打・横浜のお株を奪うかのような見事な打力を見せた試合でした。また2点リ-ドされていて9回2死、絶体絶命なところから相手のエラ-があったものの、2点を挙げ更に延長でひっくり返した常総学院戦も見事でした。1つのエラ-が招く破綻を感じさせられたゲ-ムでもありました。
後で知ったのですが、このケ-ス、全く正反対の立場で10年前、群馬県大会の準決勝で前橋育英高が体験していたのです。当時の監督は今と同じ荒井監督、対するはこのときの代表校、桐生一高です。
9回2死3-1とリ-ドし、あと一人抑えれば甲子園にぐっと近づくといったところ、続く打者にヒットを許したのを皮切りに2点差をひっくり返し、サヨナラ負けしてしまったのです。このときにスタンドで応援していたのが監督の次男でもある、まだ小学生だった主将の荒井海斗選手です。
ですから監督同様、あと1人、あと1つのアウトを取る難しさを知っていたのです。こうしたキャプテンのあきらめない気持ちと強い後押しが常総戦でも生かされたのではないでしょうか。
そして準決勝の日大山形戦、初回1死満塁でのピンチを救ったのが、再三見せていた鉄壁の守備です。あとでニュ-スで観ただけですが、明らかにイレギュラ-性の難しい、強い当たりだったのですが、二塁手は好捕し、難なく二塁に投げてダブルプレイをとったのです。
あそこで先取点を挙げられているか否かで、試合展開は大きく変わったようにも思われます。また昨日の決勝でもショ-トがやはりセンタ-に抜ける当たりをうまくさばいていました。ただ先取点を許してしまったのが、珍しく三塁手・荒井君の一塁への悪送球でした。
でも荒井君の父でもある、監督の信念で、いつも言い続けていた、「ミスの後でどうするか」という教えを選手は着実に守っていました。3点取られた次の回に先頭のホ-ムランに始まり、あっという間に3点取り返し同点としたのです。
新聞の「ひと」という欄でも、この監督の荒井直樹さんのことが紹介されていました。出来る限り3年生を優先してベンチ入りさせる方針だと言います。またベンチ外の3年生にも大会中はノックをすると言い、それぞれの持っている隠れた力を引き出そうと心がけています。
それは控えで終わっても、これから先、指導者や父として野球に携わる可能性があるゆえ、野球ってつまらないと思って欲しくない願いからです。華々しい球歴のように見えますが、なかなか芽の出なかった社会人野球での苦労がそうさせているのではないでしょうか。
とにかくアッパレな初優勝です。最後になってしまいましたが2年生投手で頑張った、高橋光成くんのピッチングは素晴らしいの一言です。直球のキレのよさに加えて、多彩な変化球をコントロ-ルよく、あそこまで投げられては高校生ではなかなか打てないのではないでしょうか。熱い甲子園から、今年も感動の夏をいっぱいいただくことができました。