会長の”三行日記”

2013.07.31

山の怖さ No.2438

 山の怖さを帰ってきてから実感しています。というのは中央アルプス・檜尾(ひのきお)岳付近で起きた韓国人登山者の遭難事故を知ったからです。ちょうどこの時期、私たち同級生を中心としたグル-プもすぐ近くの木曾駒ケ岳や宝剣岳をめざしていました。

奇しくも人数は同じ20人のグル-プだったのですが、大きな違いは韓国人グループが遭難した29日は前もって天気が崩れるということを知って、私たちは急遽、予定を変更し、その前日の28日の登山に切り替えたのです。

お陰で28日は天気が良かったことから、日本で一番高い駅とも言われている、ロ-プウェイの終点の千畳敷駅からは、見事な千畳敷の景色や一面咲き誇っているかのようなお花畑も堪能することができました。

その様子はまた後日、写真等でも紹介したいと思いますが、もし当初の予定通り、29日の登山のままだったらと思うと、少しゾッとさせられるものです。

もっとも私たちのとったコ-スは、駒ヶ根からロ-プウェイの始発駅であるしらび平までバスに乗り、ロ-プウェイで千畳敷まで上がるという、一般の人でも向かえるものです。そして広々とした千畳敷の景色を楽しみながら、途中、八丁坂と呼ばれる急勾配の登りはあるものの、乗越浄土という地点に辿り着けばあとはそれなりに目的地に向かえます。

ただ予定を変更したことと日曜日とあって、帰りにこの日だけで3600人と聞いたとおり、ロ-プウェイが大変混雑していたことから時間的に木曾駒ケ岳の頂上までは行くことができませんでした。でも途中の宝剣山荘に荷物を置かせてもらい、メンバ-の一部は宝剣岳の頂上までは往復した人間もいます。

一方、遭難した韓国人グル-プは28日に駒ケ根市から入山し、この日は空木(うつぎ)岳(2864メートル)を登山後、木曽殿山荘に宿泊し、翌日の午前6時に出発し、檜尾岳から宝剣岳を経て宝剣山荘に向かう行程だったと言います。

ですから私たちに比べればずっとハ-ドな行程なのですが、私たちも休憩を入れた宝剣山荘と聞くと、満更、無縁なものでもありません。それと29日は雨が強かったともいい、午後3時の気温は11.3度で、夜間はさらに冷え込んだと言われています。

それに装備が薄手のポンチョのような、上から被るだけの雨具での出で立ちだったようです。これは日本と違い、韓国では一般的なようですが、最終的にはこれが原因で低体温症を招き、心肺停止を起こしたのではないでしょうか。またガイドもつけていなかったようです。

このようなことを聞くと、改めてリ-ダ-の判断の大切さを知らされるものです。私たちグル-プにしてもそのほとんどが素人のような一行です。いくらそのコ-スが比較的軽微なものであっても、山の天気はすぐ変わることから、いつどんなことが起こるか判りません。

それだけに他人事の話ではなく、山の怖さをつくづく感じています。初日、天気の崩れを適切に判断し、登山の日程を変更したリ-ダ-の英断にただただ感謝あるのみです。そして特に山では無理は絶対禁物とのことも知らされました。