会長の”三行日記”
2013.07.25
行列のできる信用金庫 No.2435
私たち中小零細企業と密接な関係にある信用金庫の話題です。ドラマ半沢直樹ではないのですが、大手銀行は「晴れた日には傘を貸すが、土砂降りの雨でも傘を貸さない」と言われることがあります。
しかし比較的行動範囲の狭い信用金庫は地域密着のこともあり、対面重視の方針でよくお客さん回りにも努め、決して上記のようなことはありません。
その信用金庫の1つ、東京・巣鴨の巣鴨信用金庫本店前には、杖をついたお年寄が行列を作るほどの賑わいを見せると言います。この「おばあちゃんの原宿」とも呼ばれる巣鴨は、毎月4のつく日には縁日が開かれ、高齢者で賑わいます。
そのため同金庫では「トイレや休憩場所を提供しよう」と、20年前からホールを「おもてなし処」として開放し、お茶などを配り、落語家を呼んで演芸会まで開いていると言います。
そしてこの延長で始まった「四の市」というものが年2回、取引先によって開かれ、このホ-ルでいろいろな物の販売が行われるため、お年寄りなどが多く集まって賑わいを見せるのです。
午前10時の開店と同時に始まったこの日の「四の市」は、洋・和菓子などを売るブースには人だかりで、約3600人もの来場者があり、入場整理しなければいけないほどだったと言われます。
従って同信金の年金受け取り口座も年々増加し、昨年、9万件を突破するほどの勢いだったとのことです。やはりこうした地道な取り組みの成果ではないでしょうか。ただ年々中小企業は減少していることから、融資先は減り続け決してその経営環境がよいわけではありません。
でも主に高齢者を対象とした、こうした取り組みに活路を見出していると言えるのではないでしょうか。ある大学教授は「信金は高齢化時代のセーフティーネットを担う一翼だ」とも話しています。
例を挙げれば、和歌山の「きのくに信金」というところは、16年前から一声運動ということを始め、一人暮らしの年金受給者約1200人を毎月、職員がまわり安否確認とともに振り込め詐欺などへの注意を呼びかけていると言います。
これにより倒れている人や、火事を見つけたこともあるそうです。また我が県の磐田信金でも、高齢者の利便性を考えて出張業務を始め、オンライン端末窓口を設置した移動店舗車を導入、山間地域の集落を回っているそうです。
まさに小回りのきく、信金ならではの取り組みです。このように金融機関といえども、刻々変化している経営環境に対応していくのには、様々な新しい戦略を打ち出していかなければなりません。それは私たち中小企業と置かれている立場は同様かもしれません。
やはり行動あるのみです。先日ラジオからこんな言葉が聞こえてきました。「やってできないことはない。やらずしてできるものはない」まさにその通りですね。