会長の”三行日記”

2013.06.10

DJポリス No.2407

 こんな素敵な警察官がいることに驚き、また微笑ましくなったものです。日本がW杯出場を決めた日、若者たちでごった返す渋谷の駅前で、DJポリスと呼ばれた素敵な警察官のお話です。

以下、DJポリスが集まった人たちに投げ掛けた、素敵なコメントをちょっと紹介させて下さい。「みなさんは12番目の選手です。チ-ムワ-クをお願いします。駅の方へ進んでください」。「目の前にいるお巡りさんも、みなさんが憎くて怖い顔をしているわけではありません。心の中ではW杯出場を喜んでいるのです」。

お互い気持ちよく、きょうという日をお祝いできるよう、ル-ルとマナ-を守りましょう」。そして胴上げを始めた集団には、「それはイエロ-カ-ドです」と穏やかに注意し、「皆さん、明日も仕事です。そろそろ帰りましょう」。

何と的を得た対応ではないでしょうか。喜びに湧く群衆の中には、お酒が入っている人も少なくないことでしょう。それだけに警察官が頭から高圧的に注意したりすると、かえって火に油を注ぐようなものです。

でもユ-モアに溢れたこうした呼び掛けには、若者は素直に耳を貸したと言われています。あの人、何者?と、押し合いへし合いしている人たちににまで笑顔が広がったそうです。

そしてこの時代を反映するかのように、ネット上にその動画が流れ、たちまち「DJポリス」と呼ばれるようになりました。人々からは「最高の仕事をしていた」と称賛の声が続いていたそうです。

この素敵なDJポリスは第9機動隊に所属する、20代の隊員とのことです。昨年から広報係という役に就き、デモや多くの群衆が詰め掛ける場所で、マイクを手に整然とした行動を呼び掛けるのがその役目です。

今年の初詣でやはり多くの人がごった返す明治神宮でも、「みなさん、急がなくても神様は逃げません。急いでもご利益は変わりません」と、ユ-モアたっぷりに呼び掛けていたそうです。

元々、そうした人々の心を和ませるセンスを持ち合わせているのでしょう。このようなことから、渋谷でもお巡りさんコ-ルが広がったと言われます。そんなとき、兼ね備えている絶妙なセンスが感じられるが次の言葉です。

声援も嬉しいですが、皆さんが歩道に上がってくれる方がうれしいです」。やはり取り上げていた天声人語でも、人の心に響き琴線に触れる対応で、当意即妙の才能が覗かれると述べていました。

権力をかさに、頭ごなしで呼び掛けても人は動くものではありません。その場にあった、理屈より情のこもった柔らかい言葉で、同世代に呼び掛けたからこそ、人々の気持ちに入り込めたのでしょう。警視総監賞うんぬんという話もありますが、決してもらってもおかしな話ではないと思います。