会長の”三行日記”

2013.03.19

感動のドラマ No.2364

日本のWBC3連覇という夢はついに途絶えてしまいました。初対戦のプエルトリコに負けてしまったのですが、これでキュ-バ、アメリカ、日本、韓国といった決勝進出常連国が全て姿を消した大会になってしまったわけです。

それでも予選第2ラウンドなど、多くの人の胸をときめかせる良いゲ-ムで、よくやったと言えるのではないでしょうか。特に中田選手など、初出場の若手の選手には今後に繋がる良い経験になったと思われます。

WBC同様、感動と言えばこの日曜日が最終回の放送だった、TBSドラマ「とんび」には結構泣かされました。重松清さんの原作をドラマ化したもので、不器用な男がある日父親となり、母親を事故で亡くしたため、男手1つで息子を一生懸命育てる、そんな物語にすぎないのですが、描かれていた親子の愛や絆の深さには強く惹かれてしまいました。

それだけ、もっとその絆が強かった、過ぎし昭和の時代への郷愁みたいなものがあったからかもしれません。また主人公のどうしようもないように見える姿や、ただただ真っ直ぐに生きていく純真無垢の姿に、自分たちならやりたくてもできない、憧れに似たようなものを感じていたのかもしれません。

両親がいないで育ったヤスという主人公は、親や家族の愛というものを知りません。それだけに自分自身で掴んだ妻や息子との家族の幸せを、必死になって守りながら自分なりに育んでいきます。

そして最愛の妻の死という最大の不幸に直面するのですが、温かな周囲の人間に諭されたり、励まされたりしながら、親ばかと言われるまでに、生活の中心を全て息子の成長に賭けて生きていくのです。

こうして立派に息子は成長していくのですが、どうしようもないように見える親父が立派な息子を持つことから、とんびが鷹を生んだように例えられているのです。でも、このとんびなくして鷹は生まれていないわけで、最終回の中にもグッとくるようなセリフや場面が少なくありませんでした。

この先、親父と一緒に住みたいと誘う子に対して、一度は住もうと決め上京するのですが、思いとどまります。なぜと問う子に対しての言葉がよかったですね。「お前と俺が一緒に住んだら、お前が逃げ帰る場所がないだろう。親はその逃げ帰れる場所を作っておくものだ」と。

とにかく演じた主役の内野聖陽さんはじめ、周囲で支えていたキャストの演技が素晴らしいものでした。そこには何とも言い難い、いつも人間的温かさが溢れていたのを感じられたからです。

テレビもくだらない番組作りだけでなく、こうした視聴者が家族や親子の素晴らしさを実感できる、温かなドラマ作りなどを望みたいものです。蛇足ながら、初回の主人公親子や最終回の息子の新しい家族が訪れていた、海を臨む素敵なシ-ンは我が街・沼津の牛臥海岸で撮られたものです。

原田監督の映画「わが母の記」でも使われたこのロケ地は、本当に綺麗な映像で描かれていました。親と子、家族の絆がだんだん薄まっていくようにも思える現代、今一度、家族や周囲の愛を見直す意味で、よい投げ掛けの番組ではなかったでしょうか。