会長の”三行日記”
2013.03.13
微妙な中国と北朝鮮の仲 No.2360
国連の安全保障理事会での北朝鮮制裁決議に中国まで賛成し、全会一致で採択されました。これは3回目の核実験を強行した北朝鮮に対して、経済制裁を追加、強行しようとするものなのですが、蜜月関係にあった中国までが制裁に加わったことは少し驚きのことでもあります。
決議内容は北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル開発計画に関係するカネ、モノ、ヒトの移動の制限・監視を大幅に強化し、主要な制裁措置の実施を各国に義務づけたものです。過去3度の安保理の制裁決議は要請という範囲にとどまっていたため、その開発を阻止できなかったからです。
この移動の制限はまずカネにおいては、それぞれの国は北朝鮮との金融取引や金融サービスを停止し、大量の現金持ち運びを制止しなければならないというものです。またモノにおいても、禁制品積載が疑われる貨物船への検査実施や、検査を拒否した船の入港禁止も定めています。
このように、がんじがらめに北朝鮮を締め付けようとする内容のものですが、よくこの決議に中国が賛成したものだと思っています。おそらく中国当局も、この傍若無人に振舞う北朝鮮に対して、手を焼いていて、再三の忠告を無視する北朝鮮に愛想を尽かしているのではないでしょうか。
それと核開発が進んでいる現状に、将来的に脅かす存在として脅威を抱いてきたのかもしれません。またある人に言わせると、先程、北朝鮮を訪れたアメリカの元NBA(バスケット)のスタ-選手、デニス・ロッドマン氏を金正恩第1書記が夕食に招き、歓待したと言います。
金正恩氏のバスケット好きからのことらしいのですが、一部報道にあるように、オバマ大統領に電話を掛けるように伝言したとか伝えられていて、中国執行部を意識して刺激しているような言動も見られます。
これがかつてのピンポン外交のように、中国とソ連の対立する間隙を縫って、アメリカと中国が近づいたケ-ス同様、中国と北朝鮮が反目するなか、アメリカと北朝鮮が近づくきっかけになるのではないかという、中国を苛立たせたことだったかもしれません。
一方の北朝鮮は制裁決議に対して、核先制攻撃の権利を行使することになるという、強く反発した対抗措置をとるとまで発表しています。こうした北朝鮮の言い分は相変わらずのところですが、制裁決議を一番身近な中国までが実際に断行したら、その効果は限りなく大きなものになるのではないでしょうか。
おそらく最大の貿易相手国で援助国でもある中国に見放されたら、北朝鮮は口ほどにもなく、大きく怯(ひる)むものと思われます。いたずらっ子を懲らしめるように、一度無軌道な北朝鮮を是非、四面楚歌に追い込んで窮地に立たせたいものです。