会長の”三行日記”

2013.02.28

奨学金 No.2352

ツア-での事故が相次いでいます。エジプトでは熱気球が墜落し、日本人4人を含む多くの方が亡くなりました。またグアムでも先日、現地に住む加害者の青年に襲われ、やはり日本人の3人の方が亡くなるという、悲しい事故が起こってしまいました。この青年は無実を訴えているようですが、何ともおかしな話で腹立たしくなるものです。

さて今日は奨学金の話に触れたいと思います。特別優秀な学生には返済など不要な奨学金がありますが、そうでない一時的に借用するような奨学金の話です。この学生生活を支えてきたはずの奨学金の返済が滞っているというのです。

それというのも近年、就職難から大学を卒業しても、なかなか正規雇用に就けない事情があるからです。11年度では滞納者が約33万人、滞納額は876億円とも言われています。その割合は全体の11%ぐらいに過ぎないというものですが、非正規雇用で無理して返済している人もいるのではないでしょうか。

それでもこの返済をいくらかでも救済する方法も用意されています。例えば最長5年まで返還が猶予されるそうです。また返還年数を最大で30年まで延ばし、回当たりの返済額を減らす「減額返還制度」も始まったとのことです。

そして12年度以降の利用者については、年収によって返還を猶予される「所得連動返還」制度も新設されたみたいです。こうした救済措置があるにもかかわらず、問題なのはそれが機能していないことにあります。つまり内規の細かい文書に示されているだけで、多くの利用者に知らしめていなかったのです。

またもう一つ問題なのは、回収制度がかなり厳しいことです。まず3カ月連続の滞納で、返還者は民間金融機関などが多重債務者対策などに用いる個人信用情報機関に登録されます。これでクレジットカードが持ちにくくなるのです。いわゆるブラックリストというものです。

そして滞納が9ヶ月続くと、機構が一括払いを求める支払督促を送付し、それでも応じない場合は給与の差し押さえや提訴が実施されるというのです。もうこうなったら、最悪とも言えるものです。

私の3人の子どもたちも1つ飛びの年恰好から、3人ともこの奨学金を頂きながら大学生時代を過ごしました。入学金や授業料などを考えたら、とても私一人の報酬では賄いきれなかったからです。当時はずいぶんと助かったものです。

幸いに3人とも無事、正規雇用となりましたので、現在は滞りなくその返済を進めています。でも、もしそうでなかったらと考えたら、やはりこのように順調にはいかなかったかもしれません。そう考えると、やはり現在の社会状況に大きく左右されるもので、この就職難は考えなければいけない大きな問題です。

借りたものは私たち企業同様、しっかりと返さなければいけないものですが、運悪く正規雇用に就けず、返済が滞ってブラックリストに載ってしまうというのも、ちょっと可哀想な気がします。半分は社会そのものの問題でもあるだけに、しっかりとその対策を考えてもらいたいものです。