会長の”三行日記”

2013.01.22

内定辞退 No.2344

就職氷河期と言われる今日、こんな話題をネットで見つけました。内定辞退といって、折角企業から採用合格通知を頂いていながら、当事者が断わるケ-スで、企業側のそれに対抗する凄まじい手段が載っていました。
 
内定辞退を告げた学生にこんな言葉が投げつけられているみたいです。「おまえのせいで、育成計画が狂ったんだぞ。どうしてくれるんだ!?」会社の人事からの言葉です。
 
このように内定辞退者に対する企業側の風当たりは、強くなる一方です。以下違法すれすれの行為が紹介されていました。
 
1.某大手金融機関A社に内定辞退を伝えたところ、「どこの企業に行くのか?」と聞かれた。入社予定のB社の社名を伝えたところ、A社の取引先の企業であったため、圧力をかけられた。これにより、A社とB社の内定を失う結果となった。

2.某大手食品会社C社の内定を辞退したところ、椅子に座らされ、人事数名に1時間におよぶ罵詈雑言を浴びせられた。

3.某大手金融機関D社に内定辞退を伝えたところ、その場はいったん保留にさせられた。後日、研究室に行く際、人事が校門で待っていた。一緒に教授のところまで案内させられ、教授にあいさつをして帰っていった。お世話になった教授を裏切れず、そのまま入社を決意した。

 
1のようなケ-スは実際にも私が耳にしています。ある大手の証券会社に内定辞退を告げにいったところ、丁重に接してくれエレベ-タまでわざわざ見送りにきてくれました。そしてドアが閉まった瞬間、「おまえ、〇〇証券を舐めるなよ」という言葉を投げつけられたのです。
 
そして後日、就職先として決まっていた会社に手を回され、この会社にも入ることができなくなり、どこにも行けなくなったという話です。
 
こうなると少し考えさせられてしまいます。就活の学生には確かに職業を自分でしっかりと選ぶ権利があります。でも断われた企業側にしたって、採用計画とか人事体制もあり、予定が狂ってしまうわけですが強制的に引き止めることができません。
 
従って面白くないことから、このような腹いせも生まれるわけです。この原因は一極集中でどうしても人気企業に偏る傾向があることからです。ですから内定を獲得できない学生も増え、質より量とのことで、学生は複数の企業の採用試験に臨まなければいけません。
 
そして合格するのはやはり同じ人間に偏ってしまうからではないでしょうか。また企業側にもかつてリ-マンショックなどで、内定取り消しという措置がありました。これが一層強い不信感を学生にもたらしたとも言えるわけです。
 
一方の企業にしたって、1年がかりで少なくない予算を掛けてその準備を進めています。それが大手であっても6~7割の辞退者が出るという現状では、頭の痛い問題で対抗措置をとらざるを得なくなるのではないでしょうか。
 
確かにこの問題は双方に言い分があり、かなり難しい問題だと思います。だからといって違法すれすれの腹いせ的行為を行ってよいということにはなりませんが、この先なくなるとも思えないことから、根本からその就活作業を構造的に見直すことが必要ではないでしょうか。
 
そして少子化ということあり、若者の就職率を大幅に改善することが、今、早急に求められている大きな課題です。