会長の”三行日記”
2012.11.29
龍沢寺の虫干し No.2321
弊社会長でもある父は今日で満89歳を迎えます。仕事からは離れていますが、まだまだ元気です。足腰がだいぶ弱くなってきたのが少し気になりますが、いつまでも健やかで長生きしてもらいたいものです。
さて先の3連休の初日だった23日は同級生の友人に誘っていただき、三島・沢地にある龍沢寺の観楓祭と言って、お寺が所有するお宝の虫干しの見学に出掛けてきました。
当日は小雨がぱらつく生憎のお天気でしたが、お宝をこの日に限り、一般公開してくれるとあって、きっと毎年訪れていると思われるマニアの方たちを中心に、大勢が押し掛けていました。
龍沢寺は臨済宗妙心寺派のお寺で、現在の住職が後藤栄山さんと言います。私が時々は出掛ける、毎月2日に行われる沼津の東方寺での座禅修養会において、法話を務めていただいている老師でもあります。
お寺の実質的な開山は座禅和讃でも知られる白隠禅師です。そして一番の弟子とも言われている東嶺禅師が、この地に伽藍を創建したと伝えられています。
その後、一時は廃寺同様とまでなりますが、終戦勅語で知られる「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」という文言を進言した山本玄峰老師により、修行道場として復興したのです。
虫干しには室内に飾りきれないほどの書や絵画が多数、並べられていました。白隠禅師、東嶺禅師の多くの書画の他、俵屋宗達、良寛さんのものや、伊藤若冲さんの作品まで見つけたくらいです。
とにかく撮影禁止であるがゆえに、ここでお見せできないのが残念に思うくらい、ふんだんに高価なものが飾られていたのです。また友人の知り合いでこれらに詳しい方の解説もあって、作品への興味が一層増したわけです。
その一部説明によると、東嶺禅師の書画には必ずハマグリの絵が落款と一緒に付いています。これが何を意味するのかまでは解らなかったのですが、ハマグリがついていれば、多少字の解読が困難でも作者が判るというものです。
そんなわけで、下世話な話ですが、何でも鑑定団などに出せばいくらの金額がつくか、計り知れないようなものばかりです。またそんなことより何よりも、落ち着いてゆっくり鑑賞できる、その安らぎの気持ちになるのが嬉しいものです。故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る、まさに温故知新そのものです。