会長の”三行日記”
2012.10.25
貧しさと抗日教育が生んだもの No.2299
沖縄近海に中国海軍のミサイル駆逐艦など艦艇3隻が航行するなど、相変わらず不穏な動きを見せている中国ですが、先の反日デモで逮捕された一人の若者についての記事が昨日の朝日新聞に載っていました。
それによると、貧しさと小さな頃から繰り返し教えられてきた抗日教育から、今回のデモがちょうど鬱積したはけ口になっていたみたいです。
出稼ぎ先から河南省南陽に戻ってきた21歳の青年は、9月15日に西安で起きた反日デモで、日本車に乗る中国人男性を襲い頭の骨を陥没させ、半身不随にさせた容疑で連行されました。
ネット上に、この青年が バイク用のU字形ロックで車を襲う姿が映し出されていたからです。車に乗っていた被害者の妻は「日本車を買った私たちが悪かった。もう二度と買わない」と必死に許しを求めたらしいのですが、容赦なく何度も攻撃したとのことです。
彼をここまでの犯行に駆り立てたものが何だったのか、記事は追求していました。気の弱い子だったとの母親の話があるものの、小さな頃から日本軍人が殺人や略奪を繰り返すシーンを強調した、抗日戦争映画などが大好きな子だったと言います。
その頃、村で悪者は誰かと聞くと、子どもたちは必ず「日本人」と答えたそうです。ですから「日本鬼子をたたきのめせ」と言い合ってよく遊んだと言います。
そして小学校5年で学校をやめ、1日30元で左官職人の見習いを始め、18歳で西安へ出ますが、収入の安定しない日雇い仕事ゆえ貧しい生活だったようです。事件前の本人のブログには、悲しい人生や勉強したいといった言葉が数多く見つかったそうです。
こうしてちょうど自宅に戻る途中、バスで通りかかったところでこのデモにぶつかり、バスを降りて興奮して輪に加わり、身動きできない車を襲うことになるのです。
母親は「学校では日本人は悪いと教わり、テレビをつければドラマの多くが抗日もの。反日感情を持つなと言うのが酷だ」と言います。 このように中国では抗日ドラマが量産されていて、昨年は確認されただけでも12シリーズ、計396回が新たに制作されたと言います。
こうした出稼ぎの不満や、幼い頃から培われた反日感情が爆発して、このような残虐的な犯行に及んだのでしょう。また豊かな沿海部に比べ、義務教育も十分に受けられない内陸部の農村では、こうした政府の愛国教育や抗日ドラマの思想に染まる若者が圧倒的に多いと言われています。
これが中国の実態なのでしょうが、日本にとっては由々しきことです。この先、深まる経済不安からもっともっと、そのはけ口にされかねません。育てられた環境が人を変えると言われますが、日本は益々中国とは付き合いにくくなるかもしれません。
明日26日は追加工事があり、早朝から再度軽井沢に出掛けますので、カキコミは休ませて下さい。