会長の”三行日記”
2012.10.09
山中教授、ノ-ベル賞受賞 No.2291
今年のノーベル医学生理学賞に、山中伸弥・京都大教授が選ばれました。この医学生理学賞の受賞は87年の利根川進教授以来25年ぶりで、2度目とのことです。
イギリス・ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士とのダブル受賞ですが、とても喜ばしいことです。その対象となったのはiPS細胞を作り出すことに成功し、いろいろな医療技術に応用できる研究が進んでいることです。
そうは言っても何やらまだ解らない話ですが、もっと平たく言えばこのiPS細胞を使っての再生医療の研究が進んでいて、iPS細胞に全ての組織や臓器を作り出す能力があることを証明している点についてです。
ですから再生医療として、すでに肝臓や心筋、神経など多くの細胞で、iPS細胞からの分化・誘導する技術に成功しているとのことですから、近い将来、病気や事故などで機能を失った患者の臓器などに移植することにより、難しい治療を可能とすることができるわけです。
凄い話です。でもこの山中教授、まだ歳も若く50歳とのことですが、ここまでの歩みは山あり谷ありの人生だったようです。中学・高校と柔道、また大学ではラグビ-と、なかなかのスポ-ツマンだったようですが、その間多くの骨折を繰り返しました。
そんなことから目指したのは整形外科医です。でも手術が苦手で、他の医師が30分で終わる手術に2時間も要したと言います。従って自分には向いていないと痛感し、基礎研究の道へと転換したのです。
病院を退職後、大学院へと進み直し、基礎研究の魅力に目覚め、実験に没頭したそうです。そしてその後、アメリカへの留学を経て帰国するのですが、研究だけに没頭できる米国の環境との落差に苦しみ落ち込んだようです。
こうして研究は諦めて臨床の道に戻ろうと思った矢先、米の研究者がヒトES細胞の作成に成功したというニュ-スに励まされ、最後の砦としていた奈良先端科学技術大学院大の助教授の公募に通ったのです。
そして記者会見でも盛んに一緒に研究していた仲間のことを称えていたように、京都大講師の高橋さんたち、素晴らしい研究室仲間にめぐり会うことができたのです。
まさに「人間万事塞翁が馬」ではないでしょうか。でもテレビなどの会見を聞いていても、とても爽やかな方ですね。右腕としての高橋さんのこともしきりに触れたり、国が全面的に支援してくれたからと、自分ひとりの手柄でないことを強調していて好感を持ちました。
またご本人が言われていたように、これからが大変と、まだ50歳と何よりも若いことに今後に大きな期待を持てるものです。政治や経済が低迷している日本の中にあって、日本医学界ここにありといった、素晴らしい快挙ではなかったでしょうか。
明日10日は出張工事で1日、会社を留守にするため、カキコミを休ませていただきます。