会長の”三行日記”

2012.09.20

日航の再上場 No.2279

昨日、経営再建をめざしてきた日本航空が東京証券取引所第1部に再上場しました。新たな出発として喜ばしいことでしょうが、何か複雑な思いに駆られるものです。
 
それというのも、この再建には多くの従業員のリストラを始めとして、莫大な公的資金が注入されるなど、完全な自力再建とは言えないからです。
 
もちろん名誉会長として抜擢された、京セラ会長の稲盛さんの力は無視できません。導入した部門別採算制度という、コスト意識の徹底が功を奏したことは言うまでもありません。
 
中には残念ながら開港したばかりの、不採算路線として我が静岡空港からの撤退もありました。こうした割り切った戦略の積み重ねで、今日に戻したとも言えるわけです。
 
しかしメディアの一部も懸念するように、これからの道も決して安泰なものではありません。それはご存知のように、LCC(格安航空会社)の台頭でオ-プンスカイと言って、運賃等の自由化で益々利益が圧迫されてくるからです。
 
そしてこのLCCは既に世界シェアの3割を握り、今後高成長が見込まれるアジアでも勢力を拡大しているとのことです。また再建原動力となった稲盛さんも、来年3月には退任されるみたいです。
 
豪腕、稲盛さんの退任でまた組織が緩み、元の官僚体質に戻るのではないかとの懸念もあるのです。こうした不安の声に対し、日航側はサ-ビス重視で行くと言ってはいますが、果たしてこの先どうなのでしょうか。
 
とにかくこの再上場には、株主優待券などを楽しみに購入していた、一般の旧株主の皆さんが一番口惜しい思いをしているのではないでしょうか。ある日突然、優良とも思われていた株券が全くの紙くず同然となったからです。
 
また以前にも書きましたが、破綻時に莫大な赤字を出したお陰で、多額の法人税を免除される可能性がある日航に対し、全日空が同じ土俵では極めて不公平だと指摘していることです。そういった意味でも、再上場を果たしたといえども、今後に待ち構えている道はまだまだ険しいと言えるのではないでしょうか。