会長の”三行日記”

2012.07.26

BCPセミナ-よりその1 No.2253

昨日は午後からほぼ4時間余り、BCPセミナ-に出掛けました。これは事業継続計画というもので、昨年の大震災など、予期せぬ大きな災害や事故があっても企業を存続できるだけの準備を怠らず、しっかりと事前での計画を立てておこうというものです。
 
ちょうどこの話を聴きながら、前日、川崎の取引先の社長を訪ねて、お聴きした話を思い出しました。5月に起こった新潟でのトンネル事故の話です。
 
関係する客先でもある、R・ENGという会社の社員も二人、このトンネル内のガス爆発という事故で、犠牲になってしまいました。二人ともまだ前途洋々の、バリバリの30代です。
 
内、一人は仕事もできて、全国トンネル工事の70%近くシェアを持つという、この会社の中堅として日本全国あちこち動き回っていたとのことです。
 
亡くなられた後、1週間して合同葬儀がありました。さぞ会社の幹部は辛いだろうと察してお会いすると、意外にも割り切れたというか、妙にいつまでも暗く引きずっている様子が見えないというのです。
 
また遺族の一人に当たる、亡くなった社員の父親が式中、次のようなことを言っていたそうです。「こんなことで、R・ENGが潰れるようなことがあってはいけない」と。
 
おそらく会社の社長以下幹部が事故後、社員さんの補償問題で必死になって動いていたのでしょう。その結果、同社は全て被害者という扱いで元請となった会社からも補償金が出ると言います。
 
その他、保険や会社からの弔慰金も加わり、おそらく残された遺族が一生困らないくらいのお金が用意されたのではないかということです。また総持寺という大きなお寺で、会社を挙げての立派な葬儀も執り行われたと言います。
 
こうした手厚い会社としての心配りが、悲しみの中でも遺族の満足感に繋がったのではないでしょうか。またこうした会社側の対応をつぶさに眺めていた社員にも「うちの会社はここまでしてくれるのか」という、不測の事態にも対応した、誠意ある自社への信頼や安心感に包まれたのではないかと語っていました。
 
まさにBCPそのものではないかと思われます。天災や事故だからといって、ただあきらめるのではなく、松下幸之助さんが言われたとおり、そこから受ける損害の大小は経営のあり方如何によって変わってくるものと知らされました。