会長の”三行日記”
2012.04.06
本来の日本人 No.2190
「吾が身をつねって人の痛さを知れ」という言葉があります。とかく自分勝手の人が多い現代なのですが、相手の立場になって考えてみれば、できないことはいっぱいあるはずです。
こんな話を聞きました。ある幼稚園で乱暴な子に、先生がいじめられた子に、いじめた子をつねらせたことがあるそうです。私たちは、とかく自分中心に物事を考えたり、判断しがちです。
自分の命は惜しいし、危害にあったり損をしたりするのは嫌だからです。これは万人共通で、自分だけがそう思っているわけではありません。
でも他人がそのように思っていることを、忘れてしまっています。忘れていなくても、自分さえ良ければという人が、あまりにも多いものです。
これは日本が戦後、復興に向け、なりふり構わず進んできた、ツケとも言われています。目先の利益だけを求めて、他人の迷惑や将来のことも考えないで、ガムシャラに生きてきたからです。
そうした中で、親は仕事中心で振り回され、家庭のことなど顧みることなどできなかったと言います。ですから、そうした中で育てられた子ども達は、他人のことまで思いやるゆとりなどなく、十分な躾がされないまま、育まれてきたとも言えるわけです。
でもそうした当たり前でもあった、自分勝手な社会が、昨年の不幸にして起きた東日本大震災で一変することになりました。人々は我先にと競って争うことなく、他人のことを思いやって整然と列を作り、待ち望んでいる姿は世界からも絶賛されることになりました。
これが本来の日本人のあるべき姿ではないでしょうか。「喉もと過ぎれば熱さを忘れる」という言葉もあります。昨年のあの未曾有な大災害をいつまでも風化させることなく、人々が手に手をとって助け合ったことを忘れないでいたいものです。
今日、早朝の散歩時、電車待ちの踏み切り手前で、対向する車が通り過ぎるまで愛犬と待っていたら、運転手の方がこちらに深々とお辞儀をして通過していきました。
何とも爽やかで嬉しい気持ちになりました。些細なことかもしれませんが、これが本来の日本人ではないでしょうか。