会長の”三行日記”

2012.03.22

見事な選手宣誓 No.2179

いや-、感動しました!昨日から始まった春の選抜高校野球大会の開会式のことです。ここで石巻工の主将が選手宣誓をやると聞いていましたので、こっそり、その時間だけテレビの中継を盗み見したのです。
 
宣誓者の阿部主将はやはりこうした事前では唇が乾くのでしょうか。さかんに何度も唇を舌で舐めながら、いかにも緊張している様子がテレビに映し出されていました。大丈夫かなと心配しながら見守っていたのは、決して私一人ではなかったものと思います。
 
そして高野連会長の励ましの言葉が終わり、いよいよ選手宣誓です。阿部君の宣誓は私たちの心配を全く振り払う、完璧で見事なものでした。以下、その全文を紹介いたします。
 
東日本大震災から1年、日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中には、苦しくて、心の整理がつかず、今も当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、悲しみにくれている方がたくさんいます。

人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。

しかし、日本がひとつになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ、日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう、日本の底力、絆を。

我々、高校球児ができること、それは、全力で戦いぬき、最後まであきらめないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で、正々堂々とプレーすることを誓います。

平成24年3月21日

選手代表 宮城県石巻工業高等学校 野球部主将 阿部翔人

 
大きなハキハキとした声で、それはそれはしっかりと、多くの人たちにその想いが伝わったことと思われます。思わず聞いていて胸がいっぱいになるくらい、被災地・東北を代表しての言葉だったのではないでしょうか。
 
甲子園への出発前、阿部主将は父親から託された、「お前には『震災に負けない』という被災者の思いを全国に伝える義務がある」という言葉どおり、しっかりとその大役を果たすことができました。
 
さあ後は思う存分プレ-に専念してもらいたいものです。まさに東北人の持つ、粘り強く、絶対あきらめない、ここ一番での芯の強さを感じさせてもらいました。大きな修羅場を潜り抜けてきた人は、やはり強いものです。
 
その石巻工は今日、3試合目で鹿児島・神村学園と対戦します。悔いのないよう、持てる力を存分に出し切って欲しいものです。