会長の”三行日記”

2012.02.27

男子マラソンにも光明 No.2164

昨日行われた東京マラソンで、藤原新選手が日本人トップの第2位となる、素晴らしい走りを見せました。序盤から2時間6分台が狙えるような高速レ-スが展開され、しかも強いエチオピアやケニアなどのアフリカ勢に混じっての2位は堂々たるものです。
 
このレ-ス、25kmぐらいまでは、強いアフリカ勢の第1集団と、日本人有力選手を含む第2集団が分かれていましたが、その後、第2集団から藤原選手が飛び出し、第1集団への追撃を開始しました。
 
そして41kmを過ぎた辺りで、日本人選手では誰一人として敗ることのなかった、皇帝と呼ばれるゲブレシラシエを一気に抜き去り、ゴ-ル前でも、もう一人キプロティチ選手まで抜いて2位でフィニッシュしたのです。
 
この藤原選手、元々は実業団のJR東日本に所属していたのですが、練習方針が合わなかったことから退社し、その後、別の会社と契約を結びましたが経営難で昨秋、契約解除となったそうです。
 
ですから現在は無職の身、しかも奥さんの仕事の都合で奥さんと子どもは富山に住み、離れ離れの生活です。こうした苦難を乗り越えての今回の大飛躍なのです。
 
伝えるところによると、レ-ス中、本人の頭の中からは、この大会の賞金と副賞の車、そしてロンドン五輪への代表切符という3つが離れなかったと言います。
 
何しろ日本人1位には600万円相当のBMWの車が贈られるというのです。そして2位は400万円、3位は200万円の賞金が贈られるとのことですから、無職の藤原選手にとっては、張り合いがないわけではありません。
 
ですからこのことも、終盤の驚異的な粘りで、3位から2位へと押し上げた要因ではないでしょうか。そしてタイムも日本人選手では、4年ぶりに2時間7分台という、久しぶりの好記録を挙げることができました。
 
これでほぼロンドンも間違いないものと思われます。また期待されていた埼玉県庁の川内選手は、2回の給水失敗が響き、残念ながら14位と敗れ去ってしまいました。
 
でも福岡での成績のみならず、ロンドン五輪代表を確実にしようと、果敢にチャレンジしていった姿勢はたとえここで代表の座を失っても、評価されるものではないでしょうか。
 
こうしてみると、だらしないのが実業団の選手です。丸抱えで何不自由なく練習にも打ち込めるのに、いまいち結果が出ないのはなぜでしょうか。やはりハングリ-さが足りないためなのでしょうか。あまり環境面で満ち足りていても駄目なのですね。
 
とにかく、藤原選手の今回の活躍で、少し世界でも戦える可能性が見え始めました。でも世界は4分とか5分台の勝負とも言われています。それだけに、その名前どおり、高レベルの世界に向けて新たな挑戦を始めてもらいたいものです。