会長の”三行日記”
2012.01.24
人の力を活かす No.2142
人の力を活かすということが、私たち企業にとっても会社発展の大きな要素となっています。戦国の武将・武田信玄について、あるメルマガに「心の機微に触れた人材の登用」と紹介されていました。
武田信玄といえば、いわずと知れた戦国の名武将ですが、あの信長も正面衝突を避けていたほどの強さを持っていたと言われています。そしてその強さは人材登用の巧みさに起因しているそうです。
まず実力本位で人を集め、配置しました。正当な実力を評価さ れた部下たちは、それぞれの持ち場でその能力をいかんなく発揮し、活躍したのが武田勢の強さの秘密であったと言われているのです。
それから次代を担う若い世代の育成にも抜かりなかったとのことです。信玄自身、幼くしてその非凡な才能を見抜かれ、老臣から徹底した教育を施されて、将としてのあるべき姿を教わりました。
こうした自身の経験から、同様に様々な機会を捉えて、若い武将の育成にあたっていったのです。ですから事あるごとに、人間的な触れ合いを通して、部下の動静に目を配っていたとも言えるわけなのです。
そうした心の機微を知り尽くした人間学が根底にあったと言われています。1つには目を掛けていた一人に、多田久蔵という人がいて、足軽大将に取り立てたとき、こう戒めたそうです。
「今後はひとり働きは無用である。足軽を預かっていながらひとり善がりの行動は、足軽が行動の規範を失い、ひいては全軍の勝利がおぼつかなくなる」と言って、リ-ダ-が自らの勲功や名誉のため、勝手に動いていては団結を乱し、全体の敗北にも繋がるゆえ、リ-ダ-には全体観が必要と説いています。
またこんな逸話も紹介されています。武田四天王のひとりに板垣信形という人間がいて、歴戦の勇将として知られた信形は、ある合戦で周囲が止めるのも聞かず、無謀に兵を進め、結局は敵にはめられ多く の犠牲を出してしまいました。
当然、責められるものだと思っていた信形に、信玄はこう言ったそうです。「敵の欺きにあいながら、大敗を免れたのはさすが信形である。周りの人間のたわごとなどに耳を貸すな」と。
この琴線に触れる言葉に深く感銘を受け、その後、思いに答えようと、信形は一身をなげうって奮闘したということです。失敗したときに責めることはたやすい。しかし責めてみても、人間が失敗から立ち直ることが少ないため、思わぬ失敗をしたときこそ、包容し守り抜 くことが大切だと言っているのです。
ちょうど先週の土曜日、中小企業家同友会富士支部の30周年記念式典があり、出掛けた記念講演で、全国のカリスマ的存在でもある、赤石義博前会長の言葉を思い出しました。
「人間それぞれには伸縮自在の袋を持っていて、それを大きく膨らませてやるのが企業や経営者の務めである」と述べていました。社員それぞれの可能性を信じ、社員が何年か経ってリタイヤするとき、ああこの会社にいてよかったと思える会社を目指さなければと、改めて教え込まれたものでした。