会長の”三行日記”

2011.11.28

ユニクロの新たな戦略 No.2116

大阪秋の陣とも言われた大阪府知事・市長ダブル選挙は、橋下さんや松井さんの維新の会が圧勝しました。天声人語にも書かれていましたが、政策論争というよりは、橋下さん本人の好き嫌いを問われた選挙のようにも見えましたが、これで無駄な二重行政などが省かれていくのでしょうか。
 
さてユニクロで知られるファーストリテイリング社が、またまた新たな試みを始めました。つい先日も61周年とかいって、創業感謝祭のセ-ルをやっていたようですが、この会社、結構ユニ-クなことを考えるものです。
 
その新しい試みとは、来年にも現在の大学新卒の一括採用方式を見直し、その採用時期を現在の年1回から通年として、選考する学年も問わないということです。
 
つまり大学3年から4年に掛けて就活するのが一般的なのですが、1年生のときから採用試験を受けることができる、従来の慣行にとらわれない方式を採用するというのです。
 
この理由を同社・柳井社長は「一括採用だと、同じような人ばかりになる。1年生の時からどういう仕事をするか考えて、早く決められる方がいい」と話しています。
 
そして1年生のときに採用が決まれば、在学中各店舗でアルバイトをしながら仕事を覚え、卒業と同時に店長として就任するコ-スも描かれると言います。
 
まさに企業側だけでなく、学生にとっても余裕を持って学生生活を送られる、一石二鳥のアイディアのような気がします。先日の静大連携高座でも、大学生を相手にこの就活と留学という点についても、少し話をさせてもらいました。
 
最近は少しその時期を遅らせているようですが、今までは3年生のときからこの就職活動に追い回されることから、本来の大学生活が阻害されるのではないかという懸念からです。
 
またそんなこともあり、日本を飛び出して外側から眺めてみるという、留学などにチャレンジする学生が減る傾向にあります。ユニクロのような採用をする企業が増えれば、1年生のときから通年で4年間就活が可能となるわけですから、余裕を持って挑むことができ、こうした問題解決も図れるというものです。
 
まさに既成の枠から外れて生まれた、発想の転換ではないでしょうか。やはり差別化された企業は違います。一事が万事とも言われますが、横並びではない、こうした取り組みや発想からも現在のユニークな製品が生まれるのでしょう。
 
ただ、先日の創業謝恩セ-ルについては、60年という区切りの年ではなく、確か61周年だったと思われるだけに、少し昨年の同企画に味を占め、2匹目のどじょうを狙った営業戦略のような気がします。
 
まあ、柳井社長のみならず、企業としても東北被災地への協力支援が少なくないだけに、野暮なことはあまり言わないでおきます。とにかく、絶えず新しい発想を求め、展開を図っている企業には違いないものです。