会長の”三行日記”
2011.11.21
幸せを求める国 No.2112
日本シリ-ズは7戦までもつれ込みましたが、ソフトバンクが日本一を勝ち取りました。中日は落合監督の有終の美を飾れませんでしたが、接戦で白熱した日本シリ-ズではなかったでしょうか。やはり野球は投手力が鍵を占めるものと知らされたシリ-ズでもありました。
さて今朝の天声人語でも触れていましたが、若きブ-タン国王夫妻の来日がこんなにも私たちを癒してもらえるものとは思いもしませんでした。
ワンチェク国王というのでしょうか、31歳で先日結婚したばかりですが、21歳の美しい王妃を伴い、新婚旅行を兼ねて我が国を訪れました。
その国・ブ-タンは九州より少し広い面積を持つとのことですが、国民の90%以上が幸せを感じているという、GNP(国民総生産)よりGNH(国民総幸福)をめざしているという国です。
また国民の多くは熱心なチベット仏教の信者であり、山間の農業国ですが、水力発電による電力の輸出を収入の柱としている小国です。
この国民の幸福を第1に考えた理想の国・桃源郷をめざしてはいるものの、民主化など抱える問題も少なくないと言います。それでも日本との国交を結んでから25年、日本は最大の援助国にもなっていることから、親日感情も強く、先の大震災には真っ先に国を挙げて温かい手を差し伸べたとも言われています。
この小国からいらしたお二人が、日本の各地で熱烈大歓迎を受けたというのは、やはり素朴でつつましく優しい人間性を兼ね備えていたからでしょうか。
被災地・福島県相馬市では子どもたちを前に、「皆さんの中に人格という竜がいます。年を取って経験を積むほど竜は大きく強くなります」と語り掛けました。
ブ-タンの国旗にも描かれている竜を、人々の人格に喩えた話は味わい深いものです。またそこには被災地への労わりと大きな励ましが含まれていたものと思われます。
週末の土曜日に訪れた京都では生憎、雨に降られてしまい少しお気の毒でしたが、少しもそんな素振りも見せず、自分の傘を住職にそっと差し掛けていた優しさも映し出されていました。
人間の幸せとは何なのでしょうか。それは決して物質的な豊かさで満たされるものではないでしょう。GNPを追い求めたばかりに失ってしまったものの大切さを、来日のブ-タン国王夫妻から改めて知らされたものです。