会長の”三行日記”

2011.11.15

無関心・無慈悲の風潮 No.2109

中国でこんな事件がありました。広東省仏山市の路上で、2歳の女の子が車にひき逃げされ、18人もの人がその場を通りかかったのに、助けもしないことから女の子は別の車にひかれてしまったというのです。
 
ひかれた女の子はその後、病院に運ばれたが意識不明だと言われています。残された現場の防犯ビデオの映像によると、路上に倒れて苦しんでいる女児をよけたり、バイクを止めてのぞき込んだ後に通り過ぎたりする人々の姿があると言います。
 
無関心、無慈悲の心がここまで浸透してきてしまったのでしょうか。地元ではこの事件を受けて、物質的に豊かになった代わりに人々の心が失われたとか、世の中の道徳心が地に落ちたという、嘆きが中国全土に広がっているそうです。
 
由々しきことです。一度ひかれた女児は倒れてから手を動かすなどして、助けを求めていたと言います。しかし見てみぬ振りをしたり、覗き込んだりしているくせに手を貸そうとしなかったために、もう一台の車にひかれてしまったのです。
 
事件後、中国版ツイッター「微博」上では18人に対し、冷血動物だいう書き込みが殺到し、中国の発展の裏側で、社会の中で面倒なことに関わりたくないという計算や自己中心主義が蔓延り、社会道徳が崩壊しているとの嘆きの声が多数寄せられているとのことです。
 
でも反面、2006年南京で起きた、ある事件の影響があるという、この18人に対し同情的な意見も寄せられています。その事件とは、バス停で転倒してけがをした高齢の女性を、若い男性が善意で病院に搬送しました。
 
ところが、逆に女性から「この男に突き落とされて骨折した」と主張され、損害賠償金を払わされる羽目になったという事件です。ある意味では何とも中国らしい事件とも言えるかもしれません。
 
こうした臭いものには蓋とか、見てみぬ振りをして他人のことには全く無関心という風潮は、このお隣り中国に限らず、わが国も人事ではないかもしれません。我が国では昔から言い伝えられている、良いことわざがあります。
 
袖すり合うも他生の縁」ちょっとした事も全て偶然ではなく、前世からの因縁によるという意味らしいのです。私たちはたった1回しかない人生ゆえに、大いに人々に関わって生きていきたいものです。