会長の”三行日記”
2011.08.31
大丈夫 No.2064
よく使われている大丈夫という言葉は、危険や心配がなく安心できたり、間違いなく確かなさまを言い表わします。その言葉は元々、中国で生まれ、立派な男子のことをそう呼んでいたそうです。
大丈夫という言葉の中で、「丈」は長さの単位のことで、周尺では約1.7mで成人男性の背丈に当たります。また「夫」は「おっと」という意味合いではなく、男性を意味し、中国では成人男性を丈夫と呼んでいるとのことです。
この立派な男子を意味する大丈夫について、孟子は次のような格調高い定義を残しています。
天下の広居に居り、天下の正位に立ち、天下の大道を行く。志を得れば民とこれに由り、志を得ざれば独りその道を行う。富貴も淫すること能(あた)わず、貧賤も移すこと能わず、威武も屈すること能わず、これをこれ大丈夫と謂う。
その意味は、天下を広い住居として、天下の真ん中に立って、天下の大道を歩む。目指す地位を得れば人民とともに道を実現し、その地位が得られなければ自分ひとりで道を行う。
富貴にも迷わされず、貧賤にも挫けず、威武もものともしない。こういうのが本当の大丈夫なのだ。
まさにこれは国のトップに求められているものでしょうが、ここまで望むのは今の世、ほとんど不可能だと思いますので、こうした気概を持たなければいけないと言うことでしょう。
休日を除き、雨の日や風の日も25年間、船橋の駅前に立ち人々に訴え続けたという野田さんですから、その気概はとても小さなものではないはずです。継続は力なり、期待を少し持てるのではないでしょうか。
この大丈夫を外した例と、見事にその期待に応えた例を、韓国・テグで開かれている世界陸上選手権大会に見ました。絶対大丈夫どころか、その世界記録更新を期待されていた、ウサイン・ボルトがまさかのフライングで失格となったのです。
これは今シ-ズンからフライングが1回で失格に変わったとはいえ、会場に詰め掛けた多くの観客のみならず、テレビの前で釘付けとなっていた私たち、多くのフアンを失望させてしまったのです。
その反対に、80mを超えたのがここ1~2年なかったと言われる、ハンマ-投げの室伏広冶選手が、1回目から今季自己ベストの投てきで、6投中4投も80m超えの見事な優勝を飾りました。
36歳にもなるベテランで、調子を落としていたとも言われていたことから、大丈夫かなと思われていた懸念を見事に打ち払ってくれたのです。その調子を大きな大会である今回に合わせていたようで、インタビュ-からも、堂々たる見事なチャンピオンだったと思います。
このように絶対的な大丈夫を外すアクシデントには大きな落胆や失望が、また多少の不安があってもそれを見事に乗り越えた結果には、惜しみない賞賛と感動が伴うものです。でも喜びと感動はいいにしても、今回のボルト選手のような失格はとても寂しく、哀れに思えるものです。