会長の”三行日記”
2011.07.20
若者へのメッセ-ジ No.2047
ついに魁皇関が引退です。今場所4日目で千代の富士の持つ、通算最多勝利1045に並び、その数を1047にまで延ばしたばかりでしたが、満身創痍でやはり限界なのでしょう。
それにしても今場所千秋楽には39歳になると言いますから、本当によく務めたものと思います。とっくに引退している貴乃花、若乃花、曙と同期とのことですから、出世は遅かったかもしれませんが、息の長い愛される関取ではなかったでしょうか。ゆっくり休んでもらいたいものです。
さて就職難で仕事がなく、不安を抱いている若者が少なくありません。その若者に対し、建築家の安藤忠雄さんが次のようなメッセ-ジを送っています。
自分は本当に仕事と人生を真剣に考えているのかと、もう一度見つめ直して欲しいと思います。真っ暗闇に見えても、何か、どこかに光はあるはずなのです。感覚を研ぎ澄まし、その光の方向へ歩いていくのだという、強い前向きの覚悟を持って欲しい。
私は学歴もなく、資金もなく、何の基盤も信用もないというところからのスタ-トでした。でも人との出会いには恵まれていたと思います。思い出すのは中学校時代の数学の先生です。
猛烈に熱心な教師で、授業中たるんでいるとチョ-クが飛んでくる。この真剣さは何だろうと何度も考えましたが、自分が仕事に取り組むようになって分かったのは、責任と誇りがあるからだということです。
私にいろいろなことを教えてくれた大工さんも、とにかくよく怒りましたが一心不乱に働いていました。仕事に対する気迫、まずそれが一番にあるべきで、条件とか景気とか、周囲の思惑に一喜一憂している暇はないと思います。
私は日本の若者にそのことに気付いて欲しいと期待しています。地球上の同じ時代を生きている若者を見れば、現代の日本ではどんな仕事の冒険をしても、命や家族に差し障りが出ることはほとんどないのですから。
このメッセ-ジは若者のみならず、私たち企業人に対しても、呼び掛けられているように思えます。仕事の閉塞感を状況のせいにしないということです。
やはり安藤さんが言われるように、その取り組み姿勢が大いに問われているものです。ついつい周りが落ち込んでいるからといって、それに流されてはいないか、また自分の仕事に対する情熱や気迫が緩んではいないか、自分達にも問われているような気がします。
そして、会社はパッと咲いてパッと散るのではなく、魁皇関のように、息が長く続けることにその使命と責任があることを、改めて教えられているように思えます。