会長の”三行日記”
2011.07.07
娘よ強く生きなさい No.2041
雨の七夕の日になってしまいました。さて、夜にはこの雨も上がって、晴れて牽牛(彦星)と織女の、年に一度の逢瀬ができるでしょうか。願いが叶うと言われる短冊に、東北の人たちの1日も早い復興を記し願いたいものです。
この被災者の中に、今も働き場であるホテルに寝泊りし、強く生きようとしている母娘の記事を読みました。ホテルは宮城県でも有名な南三陸ホテル観洋です。
震災後、このホテルの社長である、阿部憲子さんを先頭とした、被災者や宿泊客に対する取り組みには、全く頭が下がる思いですが、これはまた後日触れさせていただき、今日は前記の記事を紹介させていただきます。
海を見下ろす高台に立つ「南三陸ホテル観洋」の一室。ここが私の仕事場であり、寝泊りをする生活の場だ。ホテルウ-マンとして働く遠藤台子さん(58)は、いつも笑顔で約500人の避難者や工事関係者らに接している。
笑みのわけを尋ねると、真剣な表情になって答えた。「もうすぐ娘に子どもが生まれるんです」遠藤さんの長女、江利香さん(27)は、震災の6日前に結婚式を挙げた。新郎(23)が、新居を構える石巻市に婚姻届を出しに行った日、大地が揺れた。
翌日、新郎は遺体で見つかった。近くの祖父母と妹を助けに行き、一緒に津波にのまれたらしい。4人の遺体の前で泣き崩れる新郎の母(46)に江利香さんは言った。「私をこのまま、お嫁さんにしてくれますか」
改めて婚姻届を出した。石巻市は6月、「婚姻届は津波で流失した」と判断し、3月11日付での受理を認めた。出産予定日は、今月上旬だという。「長女に言ったんです。強く生きなさい、あなたは母親なのよって」
新しく生まれてくる命を、遠藤さんたちは、どんな笑顔で迎えるのだろう。この家族の風景をしばらく、日記につづっていきたいと思う。
何とも皮肉な運命のことでしょう。新たな人生の出発だったのに、その掛け替えのない伴侶を失ってしまいました。二人の愛の結晶としての一粒種は、父親の顔を全く見ることなく、この世に生を受けるのです。
でも尊い人の生まれ変わりかもしれません。このように、今回の未曾有な災害からは、こうした悲しい出来事が決してこれにとどまることなく、まだまだ数多くあるものと思われます。
今日から1ヵ月後、開かれるかどうか判らない仙台の七夕なのですが、たとえ開かれなくても、それぞれの胸の中の短冊に、これからの人生に幸多かりしと、しっかりと刻んで願いたいと思います。