会長の”三行日記”
2011.05.17
39歳にして掴んだもの No.2009
プロ入り16年目、39歳の河井博大選手が日本プロゴルフ選手権で初優勝を飾りました。ご本人の話でも、この日を迎えるまで本当に長かったという、言葉どおりの優勝です。
何度も、もうプロゴルファ-を辞めようかと思ったと言われます。96年にプロテストに合格して以来、2000年からツア-に本格参戦したものの、なかなか勝てず賞金シード獲得と喪失を繰り返してきました。
その支えになったのは同じプロゴルファ-の田中秀道さんです。広島の同じ高校の1年先輩に当たる田中さんは、なかなか芽の出ない河井選手を見かねて、名古屋に呼び寄せ生活の面倒を見ながら、ともにプレ-してきたと言われています。
しかしそれでもなかなか花は咲かず、コ-スに出ると普段とは違った神経質な面が出て、思い切りのよいプレ-ができず、何度も壁にぶつかっていたそうです。 そしてゴルフが自分には合っていないのではないかと、時には自暴自棄になってゴルフから離れたこともあったと聞きます。
でも田中さんは見捨てなかったそうです。自身が米ツア-に渡ってからも、「家族以上の存在」と思いやり、電話やメ-ルで一生懸命励ましてくれていたとのことです。
この河井選手、ショットは以前から悪い方ではなく、何年か前にはパ-オン率はランク1位を獲ったこともあるそうです。しかしもう1つのスコアを左右するパットが悪い為、なかなか勝てなかったのです。
従ってこの日もラウンド前の練習グリ-ンでは、師匠にも当たる田中選手から「お前は絶対勝てないからな」と何度も告げられ、ダメもとで開き直ってやってみろという、気楽なアドバイスが効を奏したのではないでしょうか。
その結果、最後まで優勝を争った、強豪である2008、09年の韓国ツアー賞金王ベ・サンムンを下し、優勝賞金3000万円(但し1割は被災地への義援金)と5年間ツア-シ-ド権という大きなものを手に入れたのです。
優勝後のインタビュ-でも、本当に辞めなくてよかったという師匠の言葉が実感のこもるもので、やっと恩返しのできた涙の優勝ではなかったでしょうか。
またこのオフに1ヶ月間、合宿に参加させてもらったジャンボからも前夜、電話で激励を受け、緊張していると告げると「緊張するならプロゴルファーを辞めろ」との愛のムチを受けたと言います。
師匠・田中さんの他にも、周囲の少なくない支えがあったのではないでしょうか。やはり人生あきらめてはいけませんね。「禍福は糾える縄の如し」悪いことばかりありません。前向きに努めていれば遅くても花開くことがあるものです。私たちにも希望を持てる39歳の優勝でした。