会長の”三行日記”

2011.05.09

佐藤基金 No.2003

津波に襲われたとき、最後まで避難の防災無線放送で呼び続けた女子職員や、同じく火の見櫓に上って半鐘を鳴らし続けた消防隊員の方同様、自分の命を投げ出してまでの尊い行為で、犠牲になった方が他にもいました。
 
宮城県女川町に中国・大連から来た研修生20人を高台に避難させた後、ご自分はこの津波に呑まれて亡くなられた、水産加工会社役員の佐藤充さんです。
 
今は一時帰国で不在ですが、同じ中国研修生を持つ当方としても、胸を打たれる素晴らしい行為です。そこには人種とか国の違いなどの偏見が一切ない、何よりも共感と最大限の敬意を払うものです。
 
そしてもう一つ嬉しいことが、この英雄的行為に対して、大連市共産党委員会の夏書記は「日中友好の証し」と称賛し、被災した佐藤さんの関係者を支援する「佐藤基金」なるものを設立したというのです。
 
佐藤さんの行為は帰国した研修生達の話から中国メディアに伝わり、大きな感動が広がっていったと言います。外国から来た研修生の安否を何よりも気遣い、自分の命と引き換えに20人もの従業員を救った、分け隔てのない行為は崇高な人間愛によるものとも言えるのではないでしょうか。
 
とかく使い捨てのように研修生を扱う、少なくない日本の企業経営者には耳の痛い話で、この事実を真摯に受け止めてもらいたいものです。
 
私どもの研修生からも帰国後、二度ほど便りがありました。どちらも無事着いたことと、その後元気にやっているとの連絡ですが、なかなか中国に戻ってからも、こちらの予定したとおり、身分証明書等を早めに取得し、再来日するに必要な書類入手が難しくなっているようなことが書かれていました。
 
それでも来日までには何とか、車の運転も習いたいと伝えていました。やはり可愛いものです。こうしてお互いの信頼関係で強く結ばれていれば、そこに中国とか日本という国籍の問題などありません。
 
そして要はこうした彼らをどのように眺めているかに依るものです。滞在期間、ただ馬車馬のように利用するだけ利用して、用が済んだら使い捨てにするコストとして考えているのか、それとも彼らの力を大いに引き出し、会社の将来的戦力としての貴重な財産として扱うかの違いです。
 
その考え方次第で、言葉は十分に理解し合えなくても、人間として伝わるものがきっとあるはずです。こうした社員と共に歩んでいくという、人間尊重の経営は、そこに隔たる国籍なども楽々と飛び越え、無関係としているものです。