会長の”三行日記”
2011.04.25
ちょっと良い話part76 No.1998
いろいろと騒がれている相撲界でのちょっと良い話です。「お相撲さんが届けたぬくもり」という新聞のコラムからです。
大相撲の玉ノ井親方(元大関栃東)の運転する車で、東日本大震災の被災地・福島県相馬市の海岸沿いを走った。大地震から1ヵ月後の13日昼。「第2の故郷が、見る影もないよ」。
がれきで埋め尽くされた街。水田だったとおぼしき泥沼には何隻もの大型漁船が横たわり、あちこちに花束が捧げられていた。
実父の先代親方が相馬出身。部屋では毎夏、ここで合宿を開いている。そんな関係もあり、部屋のある東京都足立区と相馬市は災害時相互応援協定を結んでいた。
区の要請で炊き出しに駆けつけた。冷蔵庫で食材を持ち込み、2日間で2千食のちゃんこを、点在する避難所で振る舞った。
前日に二十歳になった専門学校生の伏見真里さんは、8人家族は皆無事だったが、家は基礎のコンクリ-トしか残らなかった。車で逃げた高台から見つめた津波。「黒い壁がすべてをのみ込んでいきました」
持ち出せたのは就職活動ノ-トと携帯電話だけ。「ス-ツがないので、面接にも行けない。どうすればいいんだろう」。将来への不安に襲われ続けているが、具だくさんのちゃんこに「初めて温かい食事を頂きました。おいしい」。ほんのわずかだが、つらさを忘れることができた。
八百長問題で揺れた大相撲。被災地支援を人気回復に利用すべきではないが、お相撲さんだからこそ分けられるぬくもりがある。
避難所を出た親方に、背後から幼稚園ぐらいの女の子がAKB48の替え歌を口ずさんだ。「おいしかった、おいしかった」。親方が振り返ると、笑顔で同じ節を繰り返した。「またね」と玉ノ井親方が手を振った。
本当にお相撲さんだからこそ届けることのできる、温かいぬくもりですね。当初のちょっとした計画停電で私たちが直面した混乱が、現地ではいつ終わるか判らないほど、毎日のように繰り返されているのです。
その事実をしっかりと受け止めなければいけないと考えています。とにかく当たり前のことができる私たちだからこそ、自分にできることをしっかりと考えて、一時的ではなく先の長い支援を続けていかなければと思っています。