会長の”三行日記”

2011.02.18

ちょっと良い話part72 No.1958

自販機と若者という、地元の人が書かれたちょっと良い話です。
 
バスが遅れて沼津駅に着いた。8時28分の電車に乗りたくて、身近な自販機に千円札を入れた。950円という表示が出るはずなのに...機械音で何かを言っている。

「エ-ッ!?」と見直す。オレンジカ-ドの自販機だった。あわてて呼び出し釦を捜して押した。

きっとすごい表情をしていたのだろう。「どうかされたのですか?」背の高い若者。私は恥ずかしく照れながら「私って馬鹿なの、静岡への切符を買おうとして違う自販機にお金を入れてしまい駅員さんを待っているんです」

彼は「馬鹿ではなく、間違えただけですよ、僕が駅員さんを呼んできますよ」と行ってしまった。私は決心して他の自販機で切符を買ったところへ、彼と駅員さんが来た。事情も話してくれたらしく、すぐお金は戻った。

お礼もそこそこに電車に飛び乗った。片浜、原と景色が移る頃、私の息も整ってきた。先ほどの好青年のことが思い出された。

呼びに行ってくれたのに待たずに行動したこと、丁寧にお礼を言わなかったこと、彼は自分の乗る電車に間に合っただろうか?

何と失礼なおばさんだろうと思っているのだろう。ひと電車遅らせても、きちんとやれば良かったという思いが一杯になった。

彼はおっちょこちょいのおばさんだと思って通り過ぎず、事情を知り「間違っただけですよ」との言葉はとても嬉しかった。

メガ等の現代社会の中で、次第に誰かのお世話になっていくだろうとつくづく思った。

 
よくある話ではないでしょうか。親切にして頂いたのに、自分の用のことで頭がいっぱいで、お礼もそこそこにその場を立ち去り、後から申し訳ない気持ちに駆り立てられる経験が、誰にもきっとあることと思います。
 
それにしても「間違っただけですよ」という言葉は、素敵な言葉ですね。なかなか言えそうで言えない、この言葉を発することのできる人は、やはり心豊かな優しい人なのでしょうね。