会長の”三行日記”

2017.01.26

フィリピン No.2924

 毎日寒い日が続いています。でも寒い中、愛犬との散歩で唯一救われるのは星空の綺麗なことです。やはり空気が澄んでいるからでしょうか。それにしても我が地域は幸せですね。山陰や日本海側は大雪に見舞われて大変だったみたいですが、こちらはひとかけらも降るようなことはありません。有難く感謝しなければいけないものです。

さて地元の片浜産業クラブで、3月初旬にフィリピンの工場視察研修の予定があります。私は行けるかどうか判りませんが、メンバ-の中でマニラ近郊に工場を新設し、溶接加工の経験者を中心に72人のフィリピン人を雇用している企業があります。

その工場視察をしながら現地の産業事情を学んで来ようというものです。現在のフィリピンは人口が1億人を超え、平均年齢も20歳と若く、我が国と違ってその豊富な労働人口はとても魅力的です。また経済成長も年6%程度の高い水準が続くと見られていることからです。

この国と言えば、昨年6月に就任したドゥテルテ大統領が何かと話題を提供してくれています。「米国と決別する」とか、オバマ前米大統領に対しても「売春婦の息子」や「地獄へ行け」といった暴言が多いことでも知られている人です。

元々南部ミンダナオ島ダバオの市長を20年務めた人で、それ以前は検察官でした。そして5月に行なわれた大統領選では、ダバオの治安を劇的に改善した実績を売りに、大方の予想を覆して当選したのです。

大統領に就任してからもラフな服装を貫くなど気取らない人柄の持ち主ですが、「容疑者が抵抗したら容赦なく射殺しろ」と明言し、就任後約2か月で警官が麻薬犯罪の容疑者千人余りを殺害したということも伝えられています。

お陰で恐れをなした麻薬中毒者や密売人が大量に出頭し、こうした犯罪減少にも繋がっていて国内で高い人気を維持しているとのことです。ただ国内では支持されていても、前出のような暴言が相次いでいることから国際社会からの信頼を損ねているものです。

また中国と接近していることもちょっと気になるところです。昨年10月に中国を訪問した際にも、経済協力を優先し、対立してきた南シナ海の領有権問題には深入りしませんでした。そしてつながりの深い同盟国のアメリカとも合同軍事演習の打ち切りを表明し、距離を置いています。

これなどフィリピンにとっては近接する大国である中国と仲良くした方が得策という考えからでしょうが、相手があの中国だけに懸念されるところです。でも日本に対しては、出身のダバオでは今でも多くの日系人がいることから、親日家とも呼ばれ好意を持っているみたいです。

こうしたことからも、この大統領が海外企業の誘致を積極的に進めていて、海外への進出先として注目が高まっている地域でもあるわけです。治安等いろいろな面で不安が残ることから、まだまだ二の足を踏んでいる企業が少なくない中で、冒頭挙げた我が地域の進出企業の勇敢さには敬意を表するところです。