会長の”三行日記”

2016.07.04

世界772位 No.2862

 梅雨がもう終わったのかと思わせられる暑い週末の休日でした。その30度は超えると思われる炎天下の富士川河川敷で、ソフトボ-ルの試合を2試合もやってきました。いい歳をしてと言われそうですが、シニア年代みな元気がよいものです。

さてEU離脱で揺れているイギリスですが、もう一方ではウィンブルドンのテニスが開催されています。ここで世界ランク772位の選手が1回戦を勝ち上がったことで、大きな反響を呼んでいます。

この選手はマ-カス・ウィリスという人で、ロンドン中心部にあるテニス・クラブで子供達を中心にテニスを教えており、試合のあった月曜日の27日も本来なら5歳から10歳の子供へテニスを教えているはずでした。

そんな彼が歴史あるグランドスラム本戦1回戦で、世界ランク54位のR・ベランキス(リトアニア)を6-3, 6-4, 6-4のストレートで下し、2回戦進出を決めたのです。

両親と共に暮らしているウィリスは、1時間のテニスレッスンで40ドルを稼いでいるわけですが、これまでグランドスラムどころか、ツアーレベルの本戦での試合経験もなかったと言われています。

しかしジュニア時代は違っていて、2007・2008年のウィンブルドン・ジュニアで3回戦進出するなど、将来を期待された選手だったそうです。でも度重なる怪我やモチベーションの欠落などがその後のテニス人生の妨げとなっていたのです。

そんな人生の負け組になりかけていた彼の背中を押したのが、新しくできたガ-ルフレンドでした。彼女にテニスを続けるようにと言われたのが、まさにプロテニス選手としての人生を諦めようとしていて、フィラデルフィアへ移ってテニスを教えようと考えていたときだったのです。

こうしてテニスを続けたお陰で、今大会の予選へのワイルドカード獲得を争うプレーオフに招待され、そのプレーオフで3試合を勝ち抜き、ウィンブルドンの予選出場枠を獲得し、予選でも3試合で勝利を飾り、本戦への切符を手にしたのです。

ですからここまでにはそうした長い道のりがあったわけで、1回戦が行われた会場には多くのファンや友人、家族が押し掛け、大声援をバックに他のどのコートよりも盛り上がっていたわけです。

この1回戦を勝ったことにより、予想される獲得賞金は少なくとも5万ポンド(約650万円)と思われ、今年獲得した賞金総額の、シングルスとダブルス含めても350ドル(約3万5000円)だった彼にとっては、かなりの金額でサプライズとなったわけです。

そして迎えた2回戦の対戦相手は、最多優勝タイ記録となる7度の優勝を誇る第3シードのR・フェデラーでしたから、残念ながら敗れ去ってしまいましたが、センタ-コ-トに詰めかけた大観衆からは惜しみない拍手が送られたと言います。

ある意味、アメリカンドリ-ムみたいなものですが、やはり人間死ぬまで諦めてはいけないということでしょう。応援に駆け付けた、このコ-チに教わっている子どもたちにとっても、憧れのフェデラ-と対戦している我が先生をきっと逞しく誇りに思えたのではないでしょうか。