会長の”三行日記”

2015.10.07

ノ-ベル賞受賞その1 No.2773

 日本人が今年もまたノ-ベル賞受賞です。しかもノーベル医学・生理学賞に大村智(さとし)さん、また物理学賞に梶田隆章さんという二人もの方が受賞したのです。何とも素晴らしい快挙ではないでしょうか。

まず大村さんですが、アフリカなどで感染症に苦しむ人々を救う「イベルメクチン」という薬の開発に貢献したと言います。現在、北里大特別栄誉教授ですが、高校教師時代を経て、改めて研究者としての道を歩んだという異色の経歴の持ち主です。

大村さんは「研究を経営する」という独自の考え方を持っている方で、産学連携の草分け的存在としても知られています。また一方、私財を投じて温泉施設や美術館を設立するなど研究以外の分野でも大きな功績を残していると言います。

研究者としての原点は高校教師時代にあり、山梨大卒業後、東京都立高夜間部で教鞭をとっていた頃、自分と年齢の変わらない生徒たちが昼間は働き、夜に勉強する姿に心を打たれたそうです。

自分は大学まで出してもらった。それなのになぜ、あまり勉強しなかったのか」。この経験が「もう一度勉強し直して学問をしよう」という決意につながったとのことです。

山梨大の助手を経て、北里研究所の技師補となると、抗生物質研究室で本格的に研究者としての道を歩み始め、北里研究所の室長時代は、どこにでも小さなポリ袋を持参し、ありとあらゆる場所の土を採取して“微生物探し”に没頭したと言います。

そして大きな節目となったのは74年、伊東市にある川奈ゴルフ場の土から新種の放線菌を見つけ、寄生虫や昆虫をまひさせる機能を持つ抗生物質「エバーメクチン」の発見につなげたのです。

この化学構造を改良し、米製薬大手メルクが開発して家畜の寄生虫駆逐剤「イベルメクチン」が誕生したというのです。こうして薬剤は発症すれば失明などの恐れもある「オンコセルカ症」に極めて高い有効性があることが判明され、治療薬としてアフリカや中南米など延べ10億人以上に無償提供され、多くの人々を失明の危機から救ったのです。

ですからその貢献度は絶大なものとも言えるわけです。そしてこの人の凄さはそれに留まらず、「研究を経営する」という考え方どおり、実用化されたら売り上げに応じた特許料を研究室に入れる-といった「産学連携」に力を注いだのです。

このイベルメクチンの開発で得た特許料など200億円以上は北里研究所へ贈られていると言われています。また研究以外にも氏の活動範囲は広く、故郷の山梨県韮崎市に「韮崎大村美術館」を設立し、美術品の購入と建築費など総額7億円以上をかけた施設ですが、新築のまま同市に寄付したそうです。

またその美術館に併設した、露天風呂を含む「武田乃郷 白山(たけだのさとはくさん)温泉」と「そば処 上小路(かみこうじ)」という施設も、大村さんが私財を投じて作ったと言われ、地元の方々に親しまれています。

この大村さん、ゴルフ場の土から新種の菌を見つけたというだけあって、ゴルフも大好きで腕前もなかなかのものだと言われています。とかく大金を持つと人間がせせこましくなるものですが、そんなことはおくびにも見せず、全て研究のためにと気前良く投げ出しているのはさすがです。

やはり器が桁違いに大きいのでしょうね。お見事です!同じくノーベル賞を受賞した梶田さんについては次回に回させていただきます。

明日、8日は秦野に打合せ出張のため、カキコミは休ませていただきます。