会長の”三行日記”

2015.09.16

安保関連法案の重要局面 No.2764

 安全保障関連法案が重要局面を迎えています。60日ル-ルではなく参議院で可決しようとする与党と、これを様々な手段を使っても何とか食い止めようとする野党との間に、壮絶な攻防が繰り広げられています。

この採決を強行しようとしている法案について、お馴染みのコリア・レポートの編集長の辺真一さんが、アメリカと北朝鮮の間で有事が発生した場合、アメリカ側についた日本は無傷ではいられなくなる可能性があると警鐘を発しています。

以下はその論説の要約内容です。まず戦う理由がない日本と北朝鮮の関係について述べています。日本と北朝鮮はパレスチナとイスラエルのような不倶戴天の関係にはなく、日本が北朝鮮から狙われ、攻撃される謂われもない。

日本は北朝鮮を併合、統合する意思もなければ、国交はないものの主権国家として尊重している。日本は北朝鮮とは「撃ち方、止め」の状態にある米韓と違い、交戦国家でもない。従って、北朝鮮からミサイルで狙われる理由は何もない。

安倍政権は「ノドン」など北朝鮮が配備している数百発のミサイルが日本にとって脅威であるとしているが、地理を観れば一目瞭然だが、日本は北朝鮮との間には印パのような国境紛争も、あるいは日中や日ロ、日韓のような資源紛争も、領土問題も存在しない。

広い日本海を共有していて、排他的経済水域もかち合ってない。中露韓とは異なり軍事衝突の火種は何一つない。何と言っても、日朝間には2002年9月に小泉総理と金正日総書記の間で交わした「平壌宣言」という「歯止め」の担保がある。

小泉政権以後の歴代政権も、また今の安倍リターン政権もこの「平壌宣言」を踏襲している。自民党政権であっても、民主政権であっても、総理がタカ派あるいはハト派であっても「拉致と核とミサイル問題を包括的に解決し、過去を清算し、国交を正常化する」のが日本の対北朝鮮政策の基本方針となっている。

北朝鮮のミサイル問題を例に集団的自衛権の行使の必要性を説いている今の安倍政権も、2014年5月に金正恩政権を相手に交わした日朝合意で「北朝鮮側と共に日朝平壌宣言に則って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現する意思を改めて明らかにし、日朝間の信頼を醸成し関係改善を目指すため、誠実に臨む」と宣言している。

但し、脅威に感じるとしたら、唯一の例外は、北朝鮮と米国もしくは韓国が交戦状態となり、日本が米韓に協力した場合のみ現実となる。北朝鮮の外相は日本を米国の追随勢力と位置付け、仮に第二次朝鮮戦争が勃発すれば「日本も攻撃の対象になる」との見解を示していた。

それでも日本への攻撃には「米国が戦争を引き起こした場合」とか「自衛隊が戦争に介入すれば」との前提条件が付いていた。仮に米朝や南北間で戦争が勃発すれば、日本が巻き込まれ、火の粉をかぶるのは目に見えている。

日米安保条約の中(第6条)に日本の安全と、極東における国際平和と安全を維持するため米軍が日本の施設と区域を使用することが許されているからだ。米朝が戦えば、朝鮮半島で火が噴けば、自動的に在日米軍は参戦する。

沖縄から米海兵隊が朝鮮半島に上陸し、横須賀から米空母が出動し、そして三沢など在日米軍基地から戦闘爆撃機が発進されることになる。日米安保条約が適応され、日本は米軍の補給基地、兵站基地、あるいは後方基地になる。

仮に戦闘に直接加わらない後方支援であったとしても、北朝鮮は「準軍事行動」とみなし、ミサイルの脅威にさらされることになるだろう。湾岸戦争の際、米軍に協力したことでイラクからミサイルを撃ち込まれたサウジアラビアの二の舞になるのは確実だ。

肝心の米朝交戦だが、北朝鮮が世界最強の米国に先に手を出すことは常識では考えられない。犬の喧嘩に例えれば、スピッツがドーベルマンに喧嘩を仕掛けるようなものだ。北朝鮮がいかに米国を言葉で威嚇したとしてもそれは弱者の虚勢にしか聞こえない。しかし、その逆はあり得る。米国による北朝鮮への先制攻撃だ。

米国、あるいは日本が北朝鮮のミサイルを迎撃、あるいはミサイル基地を叩いた場合、どうなるか?朝鮮は2009年のテポドン発射の後に訪朝した米高官に対して「迎撃されれば、日米のイージス艦を撃沈する態勢にあった」と伝えていた。

実際に放映された映画には、金正恩氏が2009年4月5日のミサイル発射を、金正日総書記と共に平壌の管制総合指揮所で参観していたことが判明していて、そのナレーションで、なんと「仮に迎撃された場合、戦争する決意であった」との金第一書記(当時党中央軍事委員会副委員長)の言葉が流れていた。

安倍政権は、日本が米軍に協力しても戦争に巻きこまれることはない、むしろ抑止になると国民に説明しているが、こと朝鮮半島有事では米国の「番犬」となれば、100%戦争に巻きこまれることになるだろう。

このような論説を述べています。つまりこのような事態になれば、否が応でも日本は戦争に巻き込まれることになるのです。従って絶対認められない法案ですね。何がなんでも阻止したいものです。