会長の”三行日記”

2015.09.10

日本のいちばん長い日 No.2760

 昨夜、家内と一緒に「日本のいちばん長い日」の映画を観てきました。高校の同級生でもある原田眞人監督が撮った映画で、前売り券も買ってあったからです。

彼のお膝元でもある地元・沼津の封切はどういうわけか、お盆を過ぎた8月22日と、他のところとは遅いスタ-トだったためについつい観るのが遅くなってしまったのです。彼はこのことを凄く憤慨していましたが、やはり時期的には日本の終戦記念日当たりが最適だったのではないでしょうか。

そんなわけで少し時期外れのためか、映画館には私たちも入れて5人ぐらいの人しか居らず、ちょっぴり寂しい状態でした。この映画を観るのに少し学習しようと、お盆の頃、BSのテレビでやっていた岡本喜八監督の撮った「日本のいちばん長い日」初版を眺めました。

そんな関係で登場人物については予備知識があったため、面食らうようなことはありませんでしたが、岡本喜八版も観ていない人たちにとっては登場人物のテロップもなかったため、すこし解りにくいのではなかったかと思いました。

逆な言い方をすると、監督は岡本喜八版を観ていた人間をかなり意識していたように思えます。主役の阿南陸軍大臣を演じた役所広司さんはもちろんとして、結構、焦点を当てていたのは鈴木総理と昭和天皇だったように思えます。

ですからこの役を演じていた山崎努さんと本木雅弘さんの演技には巧みさと新鮮な感じを受けました。旧作は天皇の姿・形などはあまり映っていませんでしたが、はっきりとした意見や思いを伝える天皇の位置づけに違いを出したのかもしれません。

またあらすじを順序立てて解りやすく展開していく旧作に対して、比較的早めの場面転換などを採り入れていたことはかなり旧作を意識していたように思えます。まあ映画をあまり観ない私などには批評する資格などありませんが、どちらかと言えば旧作の方が素人の私には解りやすく良かったように思えます。

それでも一度作られた映画を撮り直しするということは、想像以上に難しいでしょうね。同じものにはできないし、焦点の当て方を変えなければいけません。でも血気にはやる若き青年将校の役にはイケメンの松坂桃李くんにはやはり無理なように思え、旧作の黒沢利雄さんが良かっただけに少し物足りませんでした。

新作の良い所と言ったら、人間天皇をつぶさに描いていたところではないでしょうか。自分のことはさておき、国民のことを一番に思い、永年かかって築き上げた日本という国を潰したくない気持ちを素直に描いていたように思えます。

またそうした戦争を終結することの難しさと併せ、人間天皇の終戦への役割は、今回の映画から監督が伝えたかったことのように思いました。