会長の”三行日記”

2015.02.02

後藤さんの伝えたかったこと No.2683

誠に残念ですが、昨日、イスラム国に人質として囚われていた後藤健二さんが殺されたというニュ-スが伝わりました。この情報はほとんど信憑性が高いと言われていますので、嘘であって欲しいという私たちの願いは無残に打ち砕かれたみたいです。酷い話です。

番組の後で知ったことですが、NHK「あさいち」の放送で柳澤秀夫解説委員が、今回のことでとても価値のあるコメントを出し、その見識の高さを示していました。コメントは以下に示すとおりです。

冒頭なんですけど、すみません。昨日から今日にかけて大きいニュースになってきた後藤健二さんなんですけど、 ちょっと、あえて、冒頭で、一言だけ・・・。 

僕も後藤さんとはおつきあいがあったものですから、一番、いま、強く思っていることは、ニュースではテロ対策とか過激派対策とか、あるいは日本人をどうやって守ればいいか、が声高に議論され始めているんだけど、ここで一番、僕らが考えなきゃいけないことというのは、後藤健二さんが一体、何を伝えようとしていたのか、ということ。 

戦争になったり、紛争が起きると弱い立場の人がそれに巻き込まれて、つらい思いをするということを、彼は一生懸命に伝えようとしていたんじゃないか。 それを考えることが、ある意味で言うと、こういった事件を今後、繰り返さないための糸口が見えるかもしれない・・・。 

われわれ一人ひとりにできることというのはものすごい限界があるんですけど、この機会にそういうことを真剣に考えてみてもいいのでは・・・。 それが後藤さんが一番、望んでいることじゃないか。そう思ったものですから、冒頭なんですけど、ちょっとお話をさせてもらいました。

時間にすれば、わずか1分あまりのコメントだったそうです。でも柳澤さんが必死で伝えたことは後藤さんの言いたかったことを全て代弁しているのではないでしょうか。

後藤さんは事件前でも自分が望んで危険地域に足を踏み入れるのだから、全て自己責任だし私自身のことは構わないでとまで語っています。自分のことより何よりも、こうした紛争に巻き込まれ被害を受けている地域住民のことを考えて欲しいと願っていたのです。

そのくらいジャ-ナリストとしての自分の使命が、そうした人たちの現状を伝えることにあると思っていたのではないでしょうか。その意味でも柳澤さんが言われるように、日本人が標的ということからその安全やテロの危険ということばかりに、焦点が行きがちですが、後藤さんが本来伝えたかったことを重視しなければいけないように感じます。

ですから他の国同様の、目には目をではなく、本来の日本独自の平和を願う立場で、まず人道支援を何よりも優先して考えなければ、後藤さんの死が無駄になるのではないでしょうか。日増しに後藤さんの凄さというものを知らされているものです。