会長の”三行日記”

2015.01.13

障害者の挑戦 No.2671

 一昨日は各地で成人式が開かれました。少子化でどんどんその数が少なくなっていることと思われますが、この人たちが高齢化するときには年金等、国の負担がなくなるとも言われています。そんな余分な負担を掛けないよう、少しでもやる気に繋がる、しっかりとした政策を打ち出してもらいたいものです。

またこの日の早朝には、海岸や田んぼの中でどんど焼きが行われていました。各子ども会が主催しているのでしょう。日中は強い風が吹きましたが、朝はまだ穏やかでよかったと思います。我が地区では正月の神社に飾る門松が、今年は毎年作っている方が亡くなったためありませんでした。

こうした日本古来からの風習や伝統が途絶えるということはとても寂しいものです。それゆえ、次世代にも日本の良き風習をしっかりと引き継いでいく必要を感じているものです。

さて交通事故で脊髄損傷し、両足まひになったにもかかわらず、福祉用具貸与・販売の会社経営に奮闘している方の記事が新聞に載っていました。障害者の自立の手助けになればと願って設立した会社は徐々に軌道に乗り、10年目となった今年、節目の年を迎えようとしています。

吉松さんという社長は大学卒業後、大手総合建設会社に就職し日々その監督業務に精を出していました。しかし25歳の時信号待ちしていた車にバイクで追突したため、3か月の入院後、二度と歩くことができない旨告げられました。

こうして会社を退職後、設計事務所に勤務し製図や積算といったデスクワ-クで生計を立てていましたが、将来の展望は描けませんでした。そのとき仕事先で「税金を払える障害者になりなさい」と励まされたことがきっかけで、自身の障害を受け入れ、2005年に一念発起してこの会社を設立したのです。

そして年に100件ほど受注する手すりの取り付けや段差の解消工事は、上半身を頼りにほとんど自分一人でやり遂げたと言います。時間は人の2倍掛かっても、誠実に対応することで顧客の信頼を獲得していったのです。

こうして2013年には磐田市に支店まで構え、現在は社員5人を抱えているそうです。「足が不自由でもやろうと思えば仕事はできる。自分の姿を見てチャレンジする障害者が増えてくれたら」と吉松さんはこう語っています。

人間いつどんな状況に置かれるか判らないのがこの世の定めです。中には悲観に明け暮れ、自分自身を見失ってしまう人もいるかもしれません。そういった意味でも自分のみならず、同じような境遇にいる方にも勇気と希望を与える吉松社長の姿勢には、大きな敬意を表するものです。

それに比べ、少しばかりでない恵まれた環境に置かれている私たちは、もっとその優位さに感謝し、励まなければいけないことを強く感じさせられます。きっと吉松社長は自分が障害者だという意識を超越しているに違いありません。