会長の”三行日記”

2014.07.31

日本一ベンツを売る男 No.2602

 「日本一メルセデス・ベンツを売る男」という本が紹介されていました。ベンツと言えばやはり世界で一番安全な車と呼ばれているくらい、ステ-タスな車として知られています。このベンツを売る、吉田満さんというトップセ-ルスマンの秘訣について紐解いています。

本の帯には「2日に1台メルセデスを売る男がいた。ノーネクタイ、顔はひげ面。しかし、セールスは超一流」と書かれている主人公の吉田さんの秘訣は、いわゆるセ-ルスのコツとかお客様との付き合い方といった単なるハウツ-的なことではなく、この人の持つ人間力の部分が大きく関係しているみたいです。

売っている車ベンツについてはまずこのように言っています。「私が売っているメルセデスは、商品だけで十分納得していただける車です。同じ車種のメルセデスならば、誰から買っても一緒。……つまり、優れた商品ですから、売るための話術やテクニックなどは、それほど必要ではありません」

ではどうやってこれまで通算2000台、年間100台以上のメルセデスを売れるようになったでしょうか。吉田さんはこう続けられています。

お客様に気に入っていただいた上に、次回も、私からメルセデスを注文してもらうために、満足度100%に、あと20%上乗せできるように努めてきました。……その方がどうされたら嬉しいか、“ここまでしてくれるんじゃないか”と期待されているのでは、ということをよく考えます。その上で、お客さまが期待されていることの上を行くように、いつも心がけています

それでは上乗せのあと20%とは何でしょうか。それは納車のときに、誰かへのプレゼントとみられときには花束を車に添えたり、どのようなスタイルでお客様のところへお届けするか、綿密に検討したりすることであったりします。

何しろ納車はセ-ルスマンとして「営業最大のイベント」でもあり、その喜びをお客様と共有するため、きめ細かな心配りをしなければなりません。また、“売りっぱなし”ではなく、どんなトラブル、事故や故障でも自らが対応する姿勢を貫き、メルセデスに乗るというライフ・スタイルでのカウンセラーとしての役割も果たされているのです。

またその心遣いについては次のように答えています。「お客様と接するときは、その方がどのような状況を望んでいるのか、どんなものが好みで何を欲しているのかを、的確に判断するように心がけてきました

お客様とお話ししていても、その内容以上に、自分の五感を研ぎすませて、できるだけ多くの情報を得るように努力しています。……洋服や装飾品の趣味、自宅の様子、部屋のインテリア、たばこの銘柄、香水の種類……。ありとあらゆる点から、顧客の好みや要望を探っていくのです

お客さまと接するときは常に印象に残る人間になろうと心がけてきました……印象に残る存在になるためには、まず、心と心が通じ合った関係をお客さまとの間に築いておかなければなりません。お客さまの立場に立って、何ができるかを考え、それをいかに実践するかだと思っています

そして最後に極めつけの言葉が続きます。「私は、メルセデスという車以上に、自分という人間、吉田という男を売っているつもりで、いつも仕事をしています

まさに吉田さん自身を常に磨いて「人間力」を高め、その魅力がお客さんをひきつけてリピ-タ-を生み出しているのです。またメルセデスという商品でお客さんの大事な生活の部分に関わり、お手伝いしているんだという姿勢で自分自身を磨きあげているのです。

つまりお客様はベンツという単なるモノを買っているのではなく、その期待に120%応えてくれる吉田さんのサ-ビスと人間力を買ってくれているのです。お客様からなぜ選ばれているのか、といった点でとても参考になる話です。