会長の”三行日記”

2014.06.05

中同協役員研修会よりその2 No.2575

 役員研修会からの第2弾、赤石前会長の基調報告です。赤石さんは1933年生まれと言いますから、ちょうど80歳を数えられるのですが、同友会の生き字引と言われるだけあっていつも精力的でお元気です。故郷北海道では先日亡くなった作家の渡辺淳一氏とは同級生で、中学3年間は一緒だったとのことです。

冗談半分の話ですが、自分の方が物書きに向いていると、当時は思っていたそうです。そして1962年に同友会に入会、翌63年の会員数は137名だったと言います。もはや戦後ではない当時、経済白書によると中小企業は低賃金で矛盾の多い企業という存在だったみたいです。

まず、なぜ同友会を作ったのかと、次のように語られました。多くの人々が中小企業で働いている以上、個人としてその生活が阻害されるようなことがあれば言うべき存在がなければならず、全ての経営者の声を公平に伝えたいという会を作る目的があったということです。

憲法13条に掲げられているように、全ての国民は個人として尊重されるという基本的人権の尊重です。また大企業並みに、中小企業家の正当な努力を正当に評価し、経済政策の対象にしなければいけないという時代背景があったからです。

また労使見解についても、どうしたら食える中小企業に、そして自慢できる賃金でいかに社員と共に一体となり、暮らしを守れる中小企業になれるかといった、必要に迫られた目的があったからこそ生まれたと言います。

その精神は人間としての素朴な3つの願いに対しての具体的な対応です。①かけがえのない命を大切にしたい。健康で与えられた命を全うしたい。(民主) ②仲間として認められたい、当てにされたい、できれば尊敬されたい(連帯) ③職場や専門分野で輝く存在を目指すなど、かけがえのない人生を悔いなく精一杯生きたい(自主)

それぞれは民主、連帯そして自主の深い意味である、生命の尊厳性の尊重、人間の社会性の尊重、個人の尊厳性の尊重に照応しているわけです。そしてそれが労使見解に一貫している人間尊重精神に繋がっていくことになります。

平たく言うと「生きる。暮らしを守る。人間らしく生きる」という願いに、具体的に対応することが人間尊重と言えるわけです。また企業においても危機への対応や、危機を作らない対応のいずれも全社一丸体制が基本となるわけです。

つまり食えて自慢できる中小企業になるためには、社員と志を共有し一体となってやっていくことで暮らしを守ることができるというのです。またそれを思っているだけでなく、形に示したのが経営指針の成文化ということです。

この経営指針については第3講の広浜幹事長が触れていますので、また後日紹介させていただきます。とにかく1年間に170±30冊の本を35年間読み続けているという赤石さんだけに、アカデミックな理論はとても説得力があったものです。講演をお聴きして思わず、この会に所属しているのが誇らしく嬉しくなったものです。