会長の”三行日記”

2014.03.03

ウクライナ No.2533

 ひなまつりという今日には相応しくない話題ですが、ウクライナという国が揺れています。ロシアが軍事介入し、EUやアメリカとの対立が深刻化し、冷戦の再来とも言われているほどです。このウクライナの旧政権であるヤヌコビッチ前大統領の豪邸が新聞に紹介されていました。

政権崩壊後、前大統領が国外逃亡中のため、住んでいたキエフ郊外の邸宅が一般公開されたのですが、森の中にゴルフ場や動物園まである、とんでもないくらいのものです。

この「腐敗の証拠」を見ようと、市民が列をなして見学に訪れているようですが、それはかつてのフィリピンのマラカニアン宮殿のように、主はいなくてもその豪華絢爛の夢のような生活を十分窺わせるものになっているみたいです。

何しろ敷地面積は東京ド-ムの約30倍の広さと言われています。中央にある4階建ての木造コテ-ジの一角は、古代ロ-マ帝国の遺跡を再現し、邸内は大理石の床に豪華なシャンデリアや家具を配置して、立体的な映像を鑑賞できるホ-ムシアタ-もあるとのことです。

また狩りが趣味だったとのことで、庭園には熊やイノシシ、ダチョウが飼育され、まるで動物園の風情をなしていたり、ドイツ製の高級車が何台も収容された車庫のほか、室内テニスコ-トやジム、ティ-ル-ムなど豪華施設が点在しているそうです。

まさに栄華を極めたような暮らしぶりだったのですが、その様子は高い塀をめぐらし外からは見えないようにしたり、邸内で働いていた人間にも携帯やカメラを取り上げ、国民に知られないよう神経を尖らせていたみたいです。

まさに絶対的な権力は絶対的に腐敗すると言われているように、少なくとも善人とはとても言えない人間ではないでしょうか。そして見学した人々の口から出た、国の金を盗んでいたと言われても仕方がないものと思われます。

このウクライナという国、元々は東・中部がロシア帝国の一部になっていた一方、西部はオ-ストリアやポ-ランドと領土となっていて第2次世界大戦でソ連に編入された歴史を持っています。そして1991年のソ連崩壊後、独立という形をとりましたが、なかなか国内が1つにまとまっていないようです。

ロシア語を話しその結びつきが強い南東部に比べ、西部はウクライナ語を話しどちらかと言えば欧州寄りの考えを持つ人が多いからです。でもこの複雑な国をまとめようとする大統領が、上記のような、ていたらくでは国民の怒りがとても収まるものではありません。

なぜか得てしてこのような複雑な背景を持つ国の為政者に限って、国民の方を少しも向かない腐敗体質になりがちなものです。旧為政者が追放され、かつての政敵とも言える新しい大統領代行が就任しましたが、その手腕に期待したいものです。

何よりも苦しむ国民に目を向けてもらいたいものです。そして不当な軍事介入を排除し、一刻も早いこの国の紛争解決と平和を願っています。