会長の”三行日記”

2014.01.22

富山第一 No.2515

 高校サッカ-NO.1を決める選手権大会で富山第一が初めての王座に輝きました。北陸同士となったこの決勝には5万人近い観客が詰め掛け、高校生の試合といえども我が国でのサッカ-人気の高さが窺えます。

その試合、私は後で眺めたのですが、0-2から逆転したのには驚きました。どちらかと言えばこれまで相手チ-ムを無失点で抑えていた星陵高に分があったのですが、そんな戦前の予想など覆し、後半のロスタイムに相手のファールがありPKで追いついたのです。

そのファ-ルをしてしまったのが星陵のDF森下選手、そして足を掛けられファールを奪ったのが富山第一のDF竹沢選手です。何と因縁めいているのがこの二人、中学時代は白山市のサッカ-クラブのチ-ムメ-トで今も携帯で連絡を取り合う親しき仲間だったのです。

試合後、お互いの健闘をたたえ声を掛け合ったとのことですが、敗れた森下選手の方には悔いは残るものの、涙はなかったそうです。それにしても優勝した富山第一というチ-ムには、高校生らしきものを少し感じ、何となく爽やかな気持ちになったものです。

というのはこのチ-ムの選手は全て自宅から通っている、いわば地元の選手なのです。野球でもそうですが、近年、大阪などの人間が東北や沖縄の学校に留学し、こうした全国大会に出てくるのも珍しくありません。

それだけに選手寮もなく、自宅から通える生徒しか受け入れないこだわりも、なかなか好感を持てるものです。それとこの地方はやはり雪が多く、冬の期間3ヶ月近く外のボ-ルを使った練習が行えず、早朝の1時間のみ体育館で行うとのことです。

そうした大変なハンディを背負っているわけですが、逆に短時間や狭さゆえ、基本技術や1対1のマンツ-マン練習が優先されるので、ボ-ルの争奪力やゴ-ルに向かう推進力というサッカ-の原点が磨かれたとも言っています。

それは今ほとんどのチ-ムが取り入れている、連動した攻撃やブロック守備といった戦術練習ばかりが練習ではないといった、教訓かもしれません。また週末に遠征する練習試合がその分、貴重な実践練習の場ともなり、ただでさえ楽しい試合への集中力が高まるわけです。

ですから雪というハンディを逆に強みにしているわけです。このように環境や置かれている実情を巧く工夫して自分たちなりの採る道を探っているわけです。そして優勝後、選手の取材に対しての姿勢も丁寧な言葉で話す、好感の持てるものだったと聞きます。まさに高校生らしい原点で、そういったチ-ムが優勝したことに、とても価値があることと思っています。