会長の”三行日記”

2013.06.21

無神経な発言 No.2415

 自民党の高市早苗政調会長が「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」と述べ、原発再稼働をめざす考えを示しました。地元の方々の苦しみを知ってか知らずか、ずいぶんと無神経な発言です。

東日本大震災発生後、東京電力福島第一原発に近い双葉病院では、入院患者が取り残されて避難が遅れ、病院によると事故のあった2011年3月中に患者40人が死亡したと言います。

また、福島県須賀川市の農家の男性が野菜の有機栽培に力を入れ、丹精込めたキャベツ7500株の収穫を待つばかりとなっていましたが、この震災の影響で、その13日後に首を吊って亡くなるという痛ましい出来事があったことも、多くの方に知られています。

そして避難所生活でストレスが溜まり、亡くなった方もいることも聞かされています。そんな状況の中、よくそんなことが言えたものか、あきれて二の句が告げません。先日の復興庁職員の暴言同様、聞かされた地元の方々の怒りは増すばかりではないでしょうか。

原発事故から2年過ぎた今、未だに地元に帰ることができない人たちの中には、避難先の一部でも地元住民との間に、いろいろとトラブルがあるようです。過日の新聞が伝えるところによると、事故後、多くの避難者を受け入れているいわき市でも、市民と避難者との間で軋轢(あつれき)が生じているようです。以下がその記述です。

もともといた住民が、市に苦情を送った件数は今年2月で約390件。苦情の具体的な内容は、「賠償金をもらっている避難者で、働いていない人もいる。一方、いわき市民は賠償も少額で、みんな働いている。

公園や道路、公共施設などは避難者も使っているのに、税金が公平に取られないのはおかしい。住民が増えたため、スーパーや病院が混雑している。避難者は医療費が無料になっているのも混雑の一因ではないか」というものです。

避難者にしたって、別に好きこのんでこの場所に来たわけではないでしょうし、賠償金なんかより早く事故前の生活に戻してくれよというのが本音でしょう。でも一方の地元民が持つ「いったい、いつまでこうした生活が続くのか」という不安も解らないわけではありません。

要は国がその復興計画で、いついつまでにこうするといった、はっきりとした明確なビジョンを示さないから無用な混乱が生じてしまうのです。ですから怒りの矛先は国に向けるべきです。

でもこうした住民の苦しみをさも知らないかのように、事故の記憶を風化させる発言の議員には何も期待ができないものです。その資格もないでしょうし、人間としての最低限持たなければいけない、相手のことを気遣った思いやりと優しさに欠けていて、大変残念な話です。